今年の「このミス大賞」の大賞受賞作だ。
著書の海堂氏は、筒井康隆氏と塩野七生氏のファンなのであろうか。この本を読んでいると2人の小説が自然と頭の中に浮かんでくる。
例えば、筒井康隆氏の「文学部唯野教授」なんかそうだ。あと、浮かんでくるわけではないが、「それじゃ、ルビコン川を渡りましょうか」などと言わせるところをみると、塩野七生「ローマ人の物語」の読者でもあるんだろう・・・と想像していまう。
チーム・バチスタの栄光 海堂 尊 宝島社 2006-01 by G-Tools |
推理小説としては、一種の密室殺人ものと言えるだろう。またそれを解決する探偵役が風采の上がらない医師と度外れて灰汁の強い官僚で、この二人のコントラストがそれはそれまでまた面白さを醸し出している。
推理小説のタイプとしては、エコの「薔薇の名前」よりはダン・ブラウンの「ダビンチ・コード」かなと思う。一気に読み終えてしまった方が面白い本だということだ。
仕事に疲れた頭を休めたいときにお薦めの一冊だ・・・と思う。
「ルールは破られるためにあるのです。そしてルールを破ることが許されるのは、未来に対して、よりよい状態をお返しできるという確信を、個人の責任で引き受ける時なのです」
「歪んだ世界の住人には、自分の歪みが見えないんです」
いろいろと思い当たることがある言葉です・・・ハイ