ヒルズ黙示録の最後に年表がついている。それを見ると、今回のライブドア幹部の逮捕に至る物語は主に2000年になってからであることが分かる。 そして村上ファンドの件はその数ヵ月後だ。
21世紀最初の6年で、ちょっと大げさに言えば、ICTと金融の二つの面から今までの産業秩序を変えるのではないかというような出来事が六本木ヒルズを中心に棲息した人々によって引き起こされた・・・と思っていた・・・逮捕までは。このブログの過去の記事を見てもそれらしいことがいくつか書いてある。
結果的には世間知らずのアダルトチルドレンが法律や制度を破り、慣習を無視し利益一辺倒に突き進んだ結果、その代表角の村上さんや堀江さんなど一部は敗れ去った(三木谷さんはまだ喰らいついているけど)。
その一部始終を取材してきた記者たちによって書かれたのが以下の2冊だ。ヒルズ黙示録はライブドアを中心に、トリックスターは村上ファンドを中心に取りまとめられている。
ヒルズ黙示録―検証・ライブドア 大鹿 靖明 朝日新聞社 2006-04 by G-Tools |
トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇 『週刊東洋経済』村上ファンド特別取材班 東洋経済新報社 2006-07-28 by G-Tools |
この2冊を読むと、まあいろいろなことがあったものだと思う。結果的に彼らの試みは、人の道を外れることとなり、その初志はどこかへ飛んでいってしまったということか。
2冊について、内容を解説することはしないけど、読み終わったあとの感想としては、歴史的に振り返れば、歴史の変わり目にこういうことは良くあったことで、それ以下でもそれ以上でもないということと、世の中が変わる流れがこれで変わるわけではないということ。そして新しい時代の経済社会システムに変わるのにはもう少しかかるなというものだ。
別に感じたのは、今回の出来事で、この背後で意図してたか、意図してなかったかは分からないが、うまく立ち回っていた人の影が見えるようで気味が悪い。トリックスターではその人物も結果的に村上に利用されたとなっているけど、本当にそうなのかな?と疑問に思う。
世の中が大きく変わろうとしている現在、小泉政権も9月で終わることもあり、改革へ大きく触れた振り子は元に戻ろうとしているように見えて仕方がない。
彼等の初志が貫徹されていればどういう経済社会になったのかを確認するにはあと10年ぐらいかかりそうな最近の世の中の動きに見える。上記の2冊を読むとその思いをさらに強くする。