日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

出向者とプロパーと研究所と

私が努める会社は、とある企業集団に属している。その中での位置づけとしては大きく言えば、国内外の情報通信マーケットの状況を様々な手法を用いて調査し、その結果をクライアントに報告するというものだ。

グループ内から若手を中心に出向者が毎年来る。大体3〜5年で彼等は戻っていったり、他のグループ企業へ移ったりしていく。3年〜5年というタームは、昇進をするまでの期間が短い人で3年ぐらいであり、昇進するときは大概の場合、転勤を伴うので出向期間もそれと同じようになる。

この3年という期間は、大学院修士課程の2年+1年ということで、研究所に出向してそれなりの分析手法なりものの見方なりをマスターして戻るにはちょうどいい期間ではないかと思う。

これまでは研究所は出向者に対し、プロジェクト・メンバーの一員として扱い、仕事もプロパーの研究員と同等に与えてきた。それにはこの研究所の事情がある。プロパーと言えども、大学院を出、専門領域を持っている人はほんのひとかけれしかいないため、プロパーと出向者を分ける必要はなかったことによる。まあ、正直に書いてしまえば、素人集団が調査研究していたようなものだ。

しかし、これからはそうは行かない。

出向してきている人は、自分のキャリアを考えた上で調査研究という仕事をするのが望ましい。将来、元の会社に戻ったとき、自分がどのような役割を担わなければいけないのか、それを考え、そのキャリアプランに基づいて仕事を行い、あるいはわれわれプロパーの人間は彼らに与え、3年たった後にはその道ではそれなりのものの見方、考え方ができるようになっていることが彼ら、彼女らには必要だと思う。

出向している人たちは、よっていずれは元の会社に戻ることを前提に仕事をすることになる。つまりいつかは誰かに自分の仕事なり、役割なりを引き継いでいかなければいけないわけだ。そういう部分も訓練のうちだと思う。自分が明日突然転勤を言い渡されても、仕事自体は遅滞なく進められていけるような体制を常に考えていなければいけない。ましてや、出向3年目を過ぎたらいつ転勤を言い渡されてもいいように、後任を育て、クライアントに顔つなぎをすることが大きな役割であるはずだ。

たまに研究所が気に入り、長くいようとする人がいる。現に今までにも特例で何人か長期出向の人はいた。しかし、これらの人は例外である。グループ内での貴重な人材を預かっていることを考えれば、今後は少なくとも許されることではない。研究所に長くとどまっても、いずれは帰らざるを得ないのが出向者の位置づけなのだから、それを崩すようなことをしてないけないのだ。短期的には出向期間を延ばすことが仕事の遂行上、望ましいことでも長期的にもたらすマイナス面は計り知れない。それは出向先である研究所と出向元である企業との両者にとってである。

プロパーの人間は3年間のうちに出向者が最大限自分の可能性を引き出せるようにできる環境を与えてやることが必要だし、出向者は期間を区切って常に自分の出向元へ戻ってからのキャリアを考えながら、自分を磨くことが大切だと思う。たとえ出向先の仕事が気に入ってその会社に長くいたいと思っても、出向者に対して転籍等が認められていない以上、ルールにのっとり、行動する必要がある。