ICT分野を研究する池田信夫さんの最新の著書。
現在、ICT市場で最も注目されている政策課題の一つである電波政策について正面から扱っている。
電波利権 池田 信夫 新潮社 2006-01 by G-Tools |
内容は、日本の電波政策の歴史(携帯電話が登場する前は主に放送政策)、海外、主に米国の電波政策の歴史と現状、電波技術のもたらす可能性とその将来性まで幅広く扱っている。
NHKの問題に関する部分は本人がもといた組織であるということもあり、その内容は非常に参考になる。
体裁もちょうどよいページ数でかつ書きっぷりも歯切れがよく読みやすい。
通報懇でなぜNHKが問題になるのか、ライブドアや楽天の仕掛けた買収は何だったのか、今、ICT政策、特に無線周波数について何が求められているのか、これを読むとその課題が何であるかを押さえられる。
彼の理論的フレームワークは下記の著書で分かるであろう。こちらは、ビジネスマンでも読めるとあるが、かなり読み応えのある内容だ。
情報技術と組織のアーキテクチャ 池田 信夫 NTT出版 2005-06-28 by G-Tools |
これから通信産業を研究するなら「電波利権」は入門書として、「情報技術と組織のアーキテクチャ」は専門の研究書として必読の書である。