日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

観察手段としての分類学(整理学)と状況を説明するための分析ツール

調査、研究、コンサルなどの商売は、クライアントの問題意識を理解するために同じ目線で対象を見て、考えることが必要だが、それだけではクライアントと同レベルの思考しかできない。それでは商売にならないので、プラスαを付け加える必要がある。そのためには、分類手段と分析ツールを持つことが一つ考えられる。

 

調査対象が与えられれば、まずはその対象を観察することになる。

一見複雑な観察対象の構造を解きほぐすのが最初になるが、その時、観察対象の構造をどう捉え、どう分類するかがポイントになる。その構造を把握し、分類する方法はいろいろあるが、それを磨くためには、定点観測*1がいい。

そしてそれを他のいろいろな分野に応用していくことで、調査対象の構造を把握する手段が磨かれ、アウトプットの質が上がることになる。

体系的な分類手法

体系的な分類手法を持つことは自らを助ける

この時、手離れ良く、同じ分類方法が応用できる場合は少なく、分野が変わればいろいろ課題が出てきて、工夫が必要になる。その課題をクリアしていくことにより、分類方法の適用範囲を広げることができる。そうすると、初めての分野でもどこを見て整理していけばいいかあたりを付けられるようになる。そこまでできれば、課題に沿うように分類のフレームを修正していけばいい。この繰り返しが、ノウハウとして蓄積されていくことで調査対象の状況を確認する際の量と質が改善される。

社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法―
 

分類、構造の体系化を意識しながらできるかがポイントだ。最初から情報が取れる取れないにとらわれ、取れる情報でどうまとめるかという思考を続ける限り、調査対象の状況を確認する際の質の向上は望めない。

 

さて、その次の段階になると、その構造を成り立たせている要因や関係性を分析することになる。これにはいろいろな学問分野の知見を応用することになる。当然、何らかの専門分野を持ち、その視点から分析することになるが、専門的な視点、視野を持つことによって、他の分野の物の見方も理解しやすくなる。一つの分野を掘り下げることによって、横にも広がりが持てることになる。

これも日頃から分析する際、意識することでより質を高めることが可能になる。定点観測するためのノウハウと、分析ツールとしての学問の専門領域に関する知識、どちらも大切だと思う。

 

これをビジネスとして考えた場合、全部をやる必要があるのかというのは検討の余地がある。最初の分類を外のリソースを使ってやることもあるし、分析について外の力を借りることもある。それは個人や組織として何を目標にするかに関わってくるが、理想は、観察し、分析できるようになることだろう。

個人的には、分類できて、構造が明らかになったら、その構造を分析してみて、何が言えるのか考えたいから、やはり両方できるようになることが目標になる。片方だけに絞るにしても、全く知らないというわけにはいくまい・・・と思う。

 

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*1:なぜ定点観測がいいかはここではあえて触れない。