世の中、いろいろあって、外食をほとんどしなくなって久しく、当然、喜寿司さんからも足が遠のいていた。9月のいつだったか、人形町で女将さんにたまたまお会いした時、今、店内工事中ということで10月から再開ときき、それならと今回久しぶりに堪能させてもらった。
開店と同時に引き戸を開ける。いつもと同じ・・・いや違う。カウンター内の並びが違う。以前は、ご主人の位置に山岸さん、その次にお兄さん、一番奥が安井くんだったはずだが、今回は、ご主人の位置にお兄さん、真ん中に山岸さん、一番奥が安井くんだった。
おやっと思い、山岸さんに「定位置に戻りましたね」って言ったら、今は非常勤になったとのこと。火木土の3日間だけで、表に出てない時は裏で仕込みしていますとのことだった。では月水金はそこに誰が?と聞いたら、弟さんとのこと。そらそうだよね。
いつもの席から一つずれて座り、美味しいひと時が始まる。まずはビールから。当然、キリンビールだ。ビールをコップに注ぎ、ぐいっと飲んで一息つく・・・この雰囲気がなんとも言えない。和やかな中にも独特の緊張感があるこの雰囲気、好きだわぁ。
この日は、いつもと同じようにお刺身からのおつまみコースでお願いする。お通しのお芋さんから始まり、続いてはお刺身。この日は戻り鰹、真鯛、生あわび、鯵、蛸、それにさいまき海老と豪華な盛合せ。鰹が良かったね。鯵も鯛も蛸もいい感じ。そしてあわび・・・贅沢だ。
お刺身のあとは、焼き物・・・マナガツオだった。やはり焼き魚は皮目の美味しさだなと思いながらパクパクっと食べる。さらに続くのは生のいくら。これもこの時期しか食べられない。プツッと感がなんとも言えない。そして鱈の白子・・・これだけふっくらしていると甘みも十分で美味しくいただける。贅沢な3品だ。
ここでにぎりでも良かったが、久しぶりに来たといこともあり、追加でもう1品お願いした。出てきたのは、喜寿司さんと言えばの一品・・・穴子だ。甘い詰めで食べる用と塩か醤油でさっぱりいただく白焼きがお皿に並ぶ。贅沢だね。この穴子のふわっと感、甘み、旨味はなかなか他では味わえないと思う。
ビールの後は、ぬる燗をいただくのが常なのだが、この日もいつもと同様にぬる燗をいただいた。何本つけてもらったかは内緒。いろいろ地酒をいただいて料理と合わせるのもいいが、ここでは菊正の淡麗辛口のお酒で料理をいただく。これがいい。
さて、ここからはにぎり。今回は追加の1貫を入れて9貫いただいた。最初の3貫は、赤身、カンパチ、平目だ。あっさり系からスタート。いいよね。
続いては、中トロ、スミイカ、赤貝。中トロの甘み・・・近海の本鮪の本物の美味しさ。スミイカは噛み心地の良さ。さっぱりしている。そして赤貝・・・いいよね。
最後の3貫は、こはだ、うに、ひこイワシ。この日のこはだは、身がパンパンでプリップリで味も旨味たっぷりで申し分ない。喜寿司さんでこれまで食べたこはだの中でもトップクラスの美味しさではなかったか。うには濃厚な味がなんとも言えず、ひこイワシはこれがまた良かった。
あっという間に9貫のにぎりをいただいたのでした。
この日のお椀は、鯛と平目がダブルで入ったお椀。美味しいのはもちろん味が濃厚で複雑であった。
楽しいひとときもすぎ、最後、お土産に干瓢巻きをお願いして、久しぶりの喜寿司さんでのひと時はお開きになりました。
今回、僕らの前に立っていたのは、安井くん。これからは彼に握ってもらうようになるのかと十分味わいながら食べさえてもらいました。彼のつまみやにぎりがこれからどう成長していくのか楽しみです。
ごちそうさまでした。