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野村克也氏、逝く:無駄のない采配、考え抜かれた采配

野村監督(あえてこう呼ぶが)と言えば、自分にとっては水島新司氏の「あぶさん」がその最初だ。南海ホークスでのプレイングマネージャーとして描かれていて、主人公景浦安武を代打の切り札として使い、人間味のある監督として描かれていた。

ja.wikipedia.org

 

次に意識したのが、ヤクルトの監督時代*1神宮球場にヤクルト戦を観に行った時だ。

自分はヤクルトのファンでもなかったので、なるべくゆっくりビールが飲めるように観客の少ない下位球団との試合で3塁側スタンドの中段より上で見ることが多かった。野球を見るというよりビールを飲みに行っていた感じ。

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最初の頃はあまり野村監督の指揮を意識してみたことはなかった。ひたすらビール・・・そして得点シーンやホームランに一喜一憂してほどよく酔っ払い帰宅するって感じ。

 

ところがある時の試合、ヤクルトの完全な負け試合だった。詳しくは忘れたが、自分の感覚としては、その後の対戦相手やスケジュールを考えると、これはもう捨て試合になるなと思って、後半はみていた。選手起用もそれほど考えずに行われるだろうと。

試合が進んでもう最終回に近い終盤になって、代打に送られる打者やリリーフで出てくるピッチャーの顔ぶれを見てふと気づいた・・・明日以降を意識して起用しているって・・・そういう監督の意図が初めて見えた試合だった。

負け試合でも次の試合を睨んで布石を打つ・・・無駄がないというか、組織はそうしないと士気が緩むのだろうなとその時は思ったものだ。当たり前のことだけど、他のチームの試合運びでそういうことを明確に感じ取ったことはなかった。野村監督、すげえと思ったよ。

この時のことはずーっと記憶に残っていて、目標(優勝)に向けて、常に今何をすべきかを考えながら、状況が変わっても、不利になってもやるべきことはやり、それを丹念に実行していくことがいかに大切なのかということを改めて自分で認識したのはずーっと後のことだ。

 

偉大な選手であり、監督であった方であった。

衷心よりご冥福をお祈りいたします(合掌)

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*1:ヤクルトで監督をしていたのは、90年から98年だから、自分が青山一丁目のオフィスに通っていた頃になる。まだ若かったね。