日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

NHKスペシャル取材班著『激走!日本アルプス大縦断ー密着、トランスジャパンアルプスレース 富山〜静岡415kmー』

415キロ・・・浜町から徳島に行く時はちょうど京都あたりまでの距離だ。それを8日間で北、中央、南アルプスを縦走して走りきる。 想像を絶するレース。

 

今、なぜこの本を手に取ったのか、自分ではよく分からない。今年の東京マラソン以降、満足な走りができていないことがあるのかもしれない。最近、あまり暑くないのに走れない自分が気に入らないのかもしれない。どちらにしろ自分のこの中途半端な状況に対して何か気分転換を、あるいは気分一新をしたかったのかもしれない。

f:id:mnoguti:20190724202431j:plain

 

読み始めたら一気に読んでしまった。ムムムと唸りながら読んだよ。これまでもランニングに関する本は何冊か読んでいるけどめっちゃ刺激を受けたという点では一番かもしれない。本書の章立ては以下の通り。

  • はじめに
  • 0日目:8月11日(スタート直前)「富山湾に現れた二八名の命知らず」
  • 1日目:8月12日「情報戦を制した王者の戦略」
  • 2日目:8月13日「西鎌”突風”街道」
  • 3日目:8月14日「憧れの王者と並び走りたい〜”運動問題児”の挑戦〜」
  • 4日目:8月15日「王者、撮影拒否〜忍び寄るプレッシャー〜」
  • 5日目:8月16日「走るのは『生きている証』を求めるため」
  • 6日目:8月17日「ゴールは自分だけのものじゃない」
  • 7日目:8月18日「南アルプス、それぞれの”心の旅”」
  • 8日目:8月19日「幻覚ロード85キロ、果てなき道行き」
  • 9日目:8月20日「大会は終わっても、自分の中でレースは続く」
  • エピローグ「死闘を終えて〜選手たちのそれから〜」
  • おわりに「人が走るということ」
  • トランスジャパンアルプスレース スペシャル対談
  • 文庫版あとがき

はじめにの前に、コースマップ、巻頭口絵、参加選手紹介のページがある。0日目から9日目まで全10章立てだ。優勝した望月選手を中心に展開するが、レース序盤からいろいろなエピソードが織り込まれる。壮絶な状況は、2日目からずーっと吹き荒れた嵐の中のレースであろうか。各選手が大変な思いをしながらレースを継続し、あるいはリタイヤしていく描写はそれが映像となって頭の中を駆け巡った。これだけの嵐、体力的な極限の中よく事故が起きなかったと思う。選手たちのタフさ加減には恐れ入る。

f:id:mnoguti:20190724202443j:plain

 

そして後半、南アルプスから最後の85キロの平地のラン。嵐は去ったものの、体力、気力の限界を超えて最後を走る選手たち、それを撮り続ける撮影スタッフもすごいものだと思ったが、やはり選手の凄さ、執念とでも言ってもいいその鬼気迫る走り。頑張るというよりはやはり我慢する、我慢して走り続ける、そういう選手たちを頭の中に描きつつ読み進める。

最後のゴール。優勝は終始先頭を走り続けた望月選手。5日以内という目標は達成できなかったが、5日間と6時間24分で走りきった。その後、選手が最終の8日目までゴールが続いた。さらにレースが終了した後もゴールを目指す選手、それを追い続ける撮影スタッフ、ここまで読み進めて、この本の圧巻は最後の2日間の描写にあるのだなと思い知る。 

優勝した選手から時間外だけど走りきった選手までの描写を読むとそれまでの苦闘の走りと重なり、凄さしか感じない読後感だった。この本は拾い読みをしてはいけない。最初の1ページ目からじっくりと最後まで1ページづつ読むのがいい。そのことによって、最後の2日間の描写の中の選手たちの凄さを、ゴールした選手たちそれぞれの凄さを改めてすごく感じることができる。

 

距離はともかく自分も自分で納得の行く走りをするために頑張ろうと思うのでした(縄跳びも)

そしてこの過酷なレースは、その後も2年に1度開催され、次回は2020年8月8日から16日に開催される。

www.tjar.jp

2016年、2018年の大会の模様は映像で残されている。

2018年は書籍化されている。文庫になったら読もうかな・・・とそこまで待てるか?

激走! 日本アルプス大縦断 ?2018 終わりなき戦い? (集英社学芸単行本)

激走! 日本アルプス大縦断 ?2018 終わりなき戦い? (集英社学芸単行本)

 

今年10冊目読了しました。