昨年も魔笛を見たが、昨年の魔笛は演出が思いっきりびっくり@@!だったので、もう少し伝統的?な魔笛を見たいということで、今年は新国立劇場へ。
今回の魔笛は、やはり演出が凝っていた。演出家の思いが多く込められた舞台。その絵、小道具、大道具・・・見た後だったが、なるほどと感心し、つい先ほど見た舞台を思い出した。
というのも、今回は上演が終わった後のバックステージツアーに参加でき、そこで舞台監督からいろいろなことを聞くことができたからだ。このバックステージツアーに参加していなければ、魔笛の従来からの面白さだけで満足して帰ったことだろう。
ちなみにバックステージツアーに参加すると足にカバーをつける。
それがバックステージツアーに参加することにより、まず舞台の構造を解説してもらい、そしてその舞台に立つことができた。なかなか見晴らしが良かった。今回の舞台はほとんど生の声で通すということだった。この広い劇場に響き渡る声、夜の女王やザラストロの声、思わず唸ってしまう。
舞台の上にはいろいろテープが貼ってあった。役者や大道具の位置を示すものなのかと考えたり、動く仕掛けを見せてもらったり、実際の小道具も見せてもらった。
そして舞台監督の高橋さんが、舞台上とその裏側を丁寧に解説しながら案内してくれる。どんなことを話してくれたか・・・ここには詳細は書かない・・・正確には忘れてしまったのでw
覚えているところで少し書くと、舞台装置を動かす上で手動に勝るものはなしということだった。一つの作品を作り上げていくとき、舞台上の道具を動かす時、練習で微調整を繰り返すということだが、その微調整はやはり人の手でやるのが一番ということだった。「ちょっと早く」とか「もう少し止めて」とか、具体的に数字に表せない部分、「ちょっと」とか「もう少し」というこれを調整できるのはやはり手動に勝るものはないということだった(AIがこの辺りもできるようになるのか?)。
また今回は、舞台の裏などでも声を出していたそうだが、その時、舞台裏から観客席までの距離は表のオーケストラより距離があるので、音の伝わる差を考慮して、少し早く演奏し、少し早く歌う・・・話を聞いていて思わず唸る。
演出家のケントリッジさんも舞台で使われる絵を納得行くまで自分で直したり、舞台にあった古いカメラは18世紀という時代にこだわっている。だから全体として白黒の世界で作られている。またフリーメーソンへのこだわりもかなりあったのではないかとのことだった。
最後に舞台監督の他、関係者は役者、演奏家、演出家、その他、皆プロだ。それらのプロを束ねていくのが、舞台監督・・・プロの中のプロということだった。この話を聞いた時、自分は、調査研究のプロジェクトを回すリーダーの仕事も同じだなと思った。メンバーはそれぞれその道のプロだ。そしてそのプロたちがそれぞれの持ち場を担当し、仕上げて行く。その作業の全体を調整しながら一つの報告書にまとめて行くのがプロジェクトリーダー。素人にはできない。
このバックステージツアー、参加している人の中には複数回きている人が結構いる。最初はなぜ?と思ったけど、今回自分が参加して聞いてみて、また参加できたらいいなと思った次第。
モーツァルト作曲 歌劇《魔笛》 ザルツブルグ音楽祭 1982 [DVD]
- アーティスト: シュライヤー(ペーター),グルベローヴァ(エディタ),コトルバス(イレアーナ),ベッシュ(クリスティアン),タルヴェラ(マルッティ),ヒースターマン(ホルスト)
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