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岸田国士著『北軽井沢にて』(kindle版):ダウンロードしてみてびっくり@@!

 月に一度は訪れる北軽井沢。ここは法政大学村という別荘地があり、昔から多くの文人や作家が別荘を持っていたことで知られている。今はどうなのだろうか。

そういう方々が多く住まわれていた土地だからこの地のことも何らかの文章に残されているのではないかと思い、Amazonで検索してみたら岸田国士さんの『北軽井沢にて』という一編の作品が見つかった。すでに著作権の期間が過ぎていると見え、無料だったこともあり、早々にダウンロードして開いてみると・・・。

北軽井沢にて

北軽井沢にて

 

びっくり@@!

文章が半ページしかない・・・いや、半ページもない、数行の作品*1著作権が切れていると思われるので、全文引用しても問題ないだろうと思うので載せると・・・

一年の大部分を山で暮らしている私は、季節の足音に耳をすます習慣がいつの間にかできました。八月に入るともう秋の気配が感じられますが、家畜の世話や、魚釣りや、たまに机に向かっての仕事やをひつくるめて、私は今、自然のふところといふものに、大きな魅力と、言ひやうのない不安とを感じています。この時代に、秋の訪れを待つことは、ただの風流ではすまされぬ気持をわかつていただけるでせう。(一部旧字体は再現できていません。) 

 ・・・これで、全文。ボランティアの青空文庫というスタイルだからできたのだろうが、これだけで一冊(kindleでこう言う表現が適切かもあるが)というのも最初はなんとも言えない違和感があった。

ただ、この短い文章、よく読んでみると・・・浅間山の麓、北軽井沢のどの辺りに本宅(もしかしたら別荘だったのか)があったのか分からないが、この短い文章の中に北軽井沢の土地の良さが凝縮されていることが分かる。北軽井沢やその周辺で季節の営みを経験したことがある人にはそれが実感されるだろう。自分も文中に描かれている晩夏から初秋を中心に四季の北軽井沢での出来事が思い出される・・・が、いきなりこれを読むとやはり「えっ!?」となってしまうのだった。

その北軽井沢は、先日の記事では、雪がない北軽井沢だったけど、ここ数日の寒波でやっと雪が積もったらしく、しかもかなりの量が積もったこともあり、このシーズンの雪の心配はやっと無くなった模様。

mnoguti.hatenablog.com

*1:奥付を見ると、初出は1949年らしい。