12月11日(金)の午後、公正取引委員会競争政策研究センター主催の公開セミナーに参加してきた。テーマは「欧州企業結合規制の現状(デジタルプラットフォーム及び電気通信に焦点を当てて)」ということで企業結合、合併規制についてのものだった。それをIT企業、ここではデジタルプラットフォームに焦点を当てたものだった。
講師は、James S. Venit氏(スキャデン・アープス外国法事務弁護士事務所弁護士)で、研究センター作成の略歴によると、「1980年よりブリュッセルに置いてEU競争法関係の業務に従事し、合併規制やEU競争法102条及び103条関係の訴訟において、多国籍企業の弁護を行うなど数多くの経験を持つ。」ということでEUを中心に活躍されている弁護士さん。
もう一人は、武田邦宣氏(大阪大学大学院法学研究科教授、競争政策研究センター主任研究官)で今回のテーマについて色々研究業績*1を出されている方である。
この手のセミナーに行くと眠気を催し、その眠気に負けてしまうことが多いのだが、今回は最初から最後まできっちり聞かせていただいた・・・つまり非常に興味深い内容だった。このテーマについては、OTT事業者と言われるGoogle、Facebook、Amazon、Appleなどが通信市場に影響を与えるようになった時期、グローバル企業が参入してくる国内市場における競争政策をどう考えるかという点で議論の俎上に上がったことがあったが、その当時は実際に起こらないと検討できないということであまり議論が深まらなかった記憶がある。
欧州における事例が中心だったが、合併により寡占化が進むということをSNSやコミュニケーションサービスを事例に何をどう判断するか議論されていたと思う。以下はこれからの研究を進めるにあたって気になったことをキーワード的に列挙しておこう。ある意味、支離滅裂になるかも知れないがまあご容赦を・・・あくまでも自分自身のための備忘録といったところ。
- 合併規制の近代化:1989年規制
- 2004年の規制改革:SOEC TEST*2の導入
- 水平合併ガイドライン(24条、25条?)
- 寡占市場における相互依存の経済的な定義(集中度が高まった市場ではない)
- 2014年以来のケース
- ECのHHIガイドライン
- Coordinated Effects
- Efficiencies(需要の効率性?)
- 参入及び拡大障壁
- ネットワーク効果
- Upward Pricing Pressure(UPP)
- デジタル市場:価格・産出量に基づかない競争?
だいたいこんな感じ。他にもいろいろあるんだと思うけど、勉強不足などが災いし、この程度しか聞き取れなかった。この辺りについて経済学的な視点からのフォローはきちっとしておかないといけない。
世はビッグデータやAIのビジネス化についていろいろ関心が高いが、そのビジネスフィールドを形作る諸制度が今後どうなっていくのか、今回の議論は組織として今後の研究テーマとしてこの分野が大切であるということを教えてくれる内容だった。要チェックだと思う。
しかし、思い返してみると、この手の研究から何年遠ざかっていたのか・・・こういうバランスを欠いた対応も良くないな・・・年明け、否、来年度、この辺りをどのように立て直していくかは一つのテーマになりうる。
地道に行きましょう。