宇佐美 伸著『すきやばし次郎 鮨を語る』・・・う〜ん、一気に読んでしまった。
読んでますます「すきやばし次郎」の鮨を食べてみたくなった(ただし、お任せで3万円)。本書を読むと、二郎さんの鮨・・・というか、仕事に対する考えがひしひしと伝わってくる。なるほどと思う。今はそんな時代ではないと言う人もいるかもしれないけど、そこには仕事をするうえで大切にしなければいけないいろいろなことが二郎さんという一人の寿司職人を通して描かれているように思う。
だからうまそうだから食べたい・・・と思ったわけではなく、こういう仕事をしている人のお店の鮨をつまんでみたいと思った次第。だから二郎さんでも禎一さんでもどちらでもいいような気がする。でもその場に行ったらやっぱり二郎さんの握りを食べたいと思うだろうな。
すきやばし次郎 鮨を語る (文春新書) 文藝春秋 2009-10 by G-Tools |
内容は以下のとおり。
- はじめに
- 第一章 「次郎」の握りを考える
- 第二章 すきやばし次郎、鮨を語るあ(ミシュランの星/店の顔/ウルカ/佐久間村/利き腕/奉公/小学生で出張料理/軍需工場への徴用/工兵隊へ/終戦/帰郷/鮨との出会い/「与志乃」での修行/戦後のタネ/「サウスポー二郎」誕生/大阪へ/鯛とタコ、マグロとコハダ/六年で十倍の売り上げ/結婚/再び東京へ/マグロ/「今がピーク」/独立/手/支店/お任せの流れ/酢飯/温度管理/旬/バブル/『すきやばし次郎 旬を握る』/健康/仕事/鮨)
- 第三章 小野二郎の人間像
- 小野二郎関連年表
- 「すきやばし次郎」店データ
こちらの本などで一気に有名になったらしい。こちらは鮨のことについて当時のすべてが語られているらしい。今度読んでみたいと思う。
すきやばし次郎 旬を握る (文春文庫) 文藝春秋 2001-09 by G-Tools |
すきやばし次郎・・・一度は食べてみたいと思っていたが、本書を読んでその思いがますます大きくなった。是非一度すきやばし次郎で食べてみたい。
そしてもう一冊が、澤島孝夫『蕎麦の極意‐池の端・蓮玉庵主人が語る江戸の粋・東京の味‐』も読了。こちらは蓮玉庵のご主人が自ら書き下ろしたもの・・・だと思う。ご主人のそばに対する考え方、江戸蕎麦のいろいろな側面が書いてあり、庶民の食べ物の現代までの変遷が著者の目を通して描かれている。
蕎麦の極意 (ゆうらくBooks) 有楽出版社 2008-12-10 by G-Tools |
目次は以下の通り。
- はじめに
- 第一章 老舗誕生‐幕末の創業から戦後の混乱を乗り越えて‐
- 第二章 蓮玉庵を愛した文人・芸人たち‐坪内逍遥から池波正太郎まで‐
- 第三章 江戸の味を今に伝える
- 第四章 蕎麦屋の四季
- 第五章 蕎麦の極意 その一 ソバと蕎麦粉
- 第六章 蕎麦の極意 その二 木鉢、のし
- 第七章 蕎麦の極意 その三 ゆでる、さらす
- 第八章 蕎麦の極意 その四 汁を取る
- 第九章 蕎麦の極意 その五 たねもの、変わり蕎麦、蕎麦がきなど
- 第十章 蕎麦の極意 その六 蕎麦屋酒、のれん
本書でちょっと残念なのは、物書きの専門家が書いたものではないという点だろう。前者の「すきやばし次郎 鮨を語る」が宇佐美伸という新聞社の編集長によって書かれたものだけあって、二郎さんのいろいろな側面が文章からダイレクトに伝わってくる感じだが、「蕎麦の極意」にはそのようなパンチが少々不足している。
プロの物書きがインタビューしてまとめたらもっと面白い本になっただろうに・・・とついつい思ってしまうが、最近蓮玉庵にはごぶさたなので機会があればまた行きたいなとは思わせる。