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塩野七生:海の都の物語-ヴェネツィア共和国の一千年-(1)

塩野さんの本は何てったって「ローマ人の物語」だが、それを読む前になぜかこちらに手を出した。

単行本の時から眼にはついていたけど、文庫本にそろそろなりそうな時期だったので待っていたところ、ある日、文庫本になっていることを知り、即行で購入した次第。

この第一巻はヴェネチアの成り立ちからその国の発展とその発展に必要であったヴェネチアの各種インフラの話が中心だ。一つはヴェネチアという国土の形成について、海をいかに利用し、どのようにつきあったかが書かれている。

その後は海洋国家ヴェネツィアとしての最重要のインフラ・・・船の話。

帆船やガレー船の解説が書かれた後、十字軍遠征、特に第四次遠征での船や関連物資等を調達したヴェネツィアの役割と当時の国力が描かれている。

そしてヴェネツィアが十字軍遠征をどのように位置づけていたのかが物語が進むにつれ、塩野さんの考察とともに記述される。ヴェネツィア人はあの時代のエコノミックアニマルであったこと、現実主義者であったことなどが坦々と記述されていく。

自分たちが生き残っていくためには、自分たちが何を一番大切にしなければいけないかということに対して、ヴェネツィア人は理想主義ではなく、徹底した現実主義で突き詰めていったということだろう。(そうやって考えると日本はどうんだんろう・・・と考えてしまう。民主党政権が発足した時期でもあるしね)

あと「はっ」と思ったのは、後半に書かれている契約の話。ヴェネツィア人とフランスの騎士との間で交わされる十字軍遠征に関する契約、その履行を記述している部分は、契約というものはもっとドライなものなのだと考えさせられた。

第一巻の内容は以下のとおり。

4101181322 海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)
新潮社  2009-05-28


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全6巻、9月の連休中に読破できるでしょうか。

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