日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

これからはバブルが繰り返し発生・崩壊する時代?

Macroecon20090204

鉱工業生産指数の減少が急だ。

グラフ(クリックすると拡大されます)は

鉱工業生産指数(季調値)の長期推移を示したもの。これをみると、日本経済は1980年代後半以降の不動産バブル、アジア金融危機ITバブルとバブルの発生とその崩壊を繰り返してきたことが分かる。

今回の日本経済の急減速も米国住宅バブル崩壊による世界経済の減速によるものだ。外需依存体質になっていた日本経済はひとたまりもなかった。

鉱工業生産指数の動きを見ると、80年代後半の不動産バブルの崩壊以降、アジア金融危機の前、ITバブル崩壊の前は大体同程度の生産水準まで回復するたびにそれがバブルであったと思い知らされてきたことになる。

今回のバブルはそれまでのバブルより規模が大きいことが分かる。生産指数はこれまでのバブルの頂点をはるかに上回り、そしてその反動か、落ち込みも激しく、12月速報値ではこれまでの崩壊後の底を下回った。これが1月、2月でどこまで落ちるか予断を許さない。

早くこの状況から抜け出すのが目下の経済政策の最重要課題といえようが、それに対する現政権の対応はどうもはっきりしない。例えば、定額給付金については給付対象者を誰にするかですったもんだしたし、その際の議論も茶番だ。マクロで見たとき限界消費性向が低所得層の方が高いということであれば、給付はやはり低所得層に厚くすべきであったと思う。(・・・と書きましたが、所得が低い方が限界消費性向が高いって本当なんでしょうかね? ちゃんと数字で持って確認したいところ・・・反省)

このようなバブルの発生と崩壊を繰り返す日本経済(あるいは世界経済といった方がいいか)は、どこかおかしいのではないかという疑問が出てくる。これまでにもおかしい点は指摘されてきた。

巷で言われている表層的なことは別として、より根深い部分で何が起こってきたかを考えるには、一橋大学齋藤先生の論考が参考になる。(僕が先生の言わんとしているところをどこまで理解できているかは分からない)

以下はまだ整理ができていないが、思いついたことを書いてみると・・・

実感なき景気回復といわれ、その背景には伸びない雇用者所得があった。労働分配率の問題だ。終戦後の日本経済の特徴として、労働分配率が低く、企業投資が重視されてきたという特徴があったと聞く(正確でないかも)。

消費を軽視した経済政策(・・・ということになるのであろうか)がもたらしたバブルの発生と崩壊の繰り返し。単なる経済成長(GDP成長率)達成至上主義の弊害がその背後にあるという指摘。

そして今回の米国住宅バブル崩壊以降の一連の世界経済の減速に、日本は単なる被害者ではなく加害者であったという指摘。

・・・と、ここまで書いてふと思うのは、戦後日本の高度経済成長、あれってまさかバブルだったなんてことはないよねというもの。石油危機ってのは実はバブルが崩壊するきっかけで、その後の落ち込みは崩壊過程であったとか。

さて、今後の経済成長は、90年代以降の日本経済のようにバブルの発生・崩壊を繰り返す、浮き沈みの激しい経済になるのか、あるいは安定した成長というものがありうるのか、どうなるだろうと考えると、景気回復を最優先する政策を考えている現状をみると、現状の構造を前提に政策等が考えられるため、やはりまた何らかのバブルが発生するのかということになる。

キーワードは「環境」らしい。

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