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Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

岩田規久男:日本経済を学ぶ

岩田規久男氏の著書だ。このブログで岩田氏の著書を紹介するのは、前回の「景気ってなんだろう」に引き続き2冊目だ。

出版されたのが2005年の1月なので、内容は2004年までの状況を中心に日本経済について解説されている。内容はすこぶる分かりやすい。日本経済のパフォーマンスを考えるにあたっては、供給側と需要側を考えなければいけないこと、競争がなぜ重視されるのか、産業政策の効果はあったのか、失われた10年が失われてしまった理由は・・・など、戦後から2004年までの日本経済についてやさしく解説してある。

4480062122 日本経済を学ぶ (ちくま新書)
岩田 規久男
筑摩書房  2005-01


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内容は以下のとおり。

  • はじめに
  • 第一章 戦後復興から高度経済成長期まで
  • 第二章 バブル景気から「失われた10年」へ
  • 第三章 日本的経営とその行方
  • 第四章 日本の企業統治
  • 第五章 産業政策と規制改革
  • 第六章 構造改革と少子・高齢化
  • 第七章 日本経済の課題と経済政策

バブル経済崩壊以降の日本経済の長期低迷の状況とそれを抜け出す処方箋としてのインフレターゲットについて簡単に紹介している。いろいろ議論のあるところの政策だが、その全体像を理解するのに手ごろだ。これを読んだら、インフレターゲットに批判的な人の著作も読むとさらに見方が広がる。

さて、今後の経済運営を考えるにあたってのポイントを第七章で7点ほど著者は挙げている。ここでもそれを参考に挙げておこう。

  1. 競争を制限する規制
  2. 業者の利益を図る裁量的な行政
  3. 一部の業者を優遇する公共調達
  4. 受益者負担のない公共事業補助金行政
  5. 不十分な情報
  6. 外部性
  7. マクロ経済における「合成の誤謬

日頃の経済政策を理解し、評価する際の主な視点になるが、これらの視点を大切にしながら、日々の経済記事を大きな視野で見て、考えることが必要だ。

経済学を勉強したことがない人で、現在の日本経済の状況を理解したい人には前回紹介した「景気ってなんだろう」と併せて読むといいと思う。

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