安倍政権の脇の甘さ、政策のパッとしなさが目立っている最近、この本を読んでいるためか、やたらと小泉首相とその側近たちの卒のない動きが際立ち、逆に安倍政権にはこういうスタッフがいないのはもちろん、首相としても経験のなさがそのまま出ているのか・・・と思ってしまう。
小泉官邸秘録 飯島 勲 日本経済新聞社 2006-12 by G-Tools |
この本は小泉氏を影で支え続けた秘書官が首相在任期間にあったことを彼の目を通してみてきたとおりに語られたものだ(まあ、要所要所の脚色はあるだろうけど)。
本書を読んで分るのは、小泉さんがその政治姿勢において一切「ぶれなかった」ことだろう。そしてこの本を読むと、国民からの小泉首相に対する終始一貫した高い支持率は、実は自民党への支持でもあったということがおぼろげながらわかってくる。
国民の多くは自民党にやはり期待している・・・しかし、今のままの自民党は支持できない・・・そこに小泉さんである。「自民党を変える。日本を変える。」「自民党をぶっ壊す」と言って総理大臣になった。
そして小泉さんは公約通り、公言したとおり、改革を実施していく。その際に官邸を中心として強力なバックアップ体制を作り、官僚をまず取り込んだ。そして政治家(自民党)と対峙し、旧来の苔のついた自民党の苔をはがす・・・それが小泉さんの自民党をぶっ壊すということだったのだろう。
それは21世紀においても自民党が生き残ろうとしたとき、通らなければならなかった一つの痛みであったと言えるのではないか。本書を読むと、その意気込みが嘘ではなかったこと、それを実現するために何が必要だったかをしっかり考えて対応した在任期間であったことがよくわかる。
その小泉さんの後を受けて登場した現内閣、今後登場するであろう未来の内閣がどれだけこの路線を続けられるか・・・すでにぶれていると思うのは私だけだろうか?