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Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

情報通信白書 平成19年版

先日、情報通信白書(平成19年版)が公表された。

この業界で働く者としては、この白書は様々な面でお世話になる。日本国内やその周辺における情報通信の現状を知るのに便利な一冊であろう。

今年の白書では、常に一読者であった立場から制作側の一員として関連プロジェクトにかかわることになった。特集部分である第一章のユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開の「第1節 情報通信と経済成長」の部分だ。


432408260X 情報通信白書 平成19年版 (2007)
総務省
ぎょうせい  2007-07


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その第1節 「情報・知識の時代」の経済成長では、マクロ生産関数を推定し、ICTが経済社会に浸透することにより効果がどの程度経済成長を押し上げるのかが中心テーマであり、その推定作業に年末年始、年度末にかけては取り組んでいた。

メンバー間では1000本ノックなどと言っていたが、1000回以上はモデルを回したのではあるまいか。終わってみて、結果が出てほっとしたと共に、久しぶりに「らしい」仕事だったと満足した次第だ。

当該部分の目次は以下のとおり。

(1)「『情報・知識の時代』の到来」では超長期の視点から経済成長とそれを可能とする源泉について整理し、議論したものであり、今後はICT、ユビキタスネットワーク化がポイントになることを簡潔に取りまとめたもの。

(2)「ユビキタスネットワークの進展と『情報・知識の時代』」では前項を受けて、ユビキタス指数というものを提案し、(3)「ユビキタス指数の作成」で具体的に説明したのち、指数を作成した。

(4)「ユビキタスネットワークの進展と経済成長」においてマクロ生産関数の推定結果を延べ、ICTが経済成長に有意に貢献していることを明らかにし、(5)「ユビキタスネットワークの進展と経済成長の将来見通し」において実際の経済成長率がどの程度になるのかをシミュレートしている。

今回のシミュレーションでは、ICTの貢献によって日本の実質GDP成長率は今後3%前後まで高まる可能性が示され、これは新たな成長戦略を模索する日本経済に対し、一つの方向性を示すものであるといえるであろう。

われわれが担当させていただいた部分以外も今年の白書の特集部分は、今後の日本の経済社会とICTを考える上で示唆に富む内容となっていると思う。視点を変えれば、研究テーマの宝庫であるとも言えるのではないかと思う。

今年の白書はいつになくお買い得である。

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