今回の主人公は渋沢栄一。明治を代表する経済人の物語。 彼は小説の最初にも書いてあるとおり、常盤橋近くに大きな立像としてつねに聳えている。
雄気堂々〈上〉 城山 三郎 新潮社 1976-05 by G-Tools |
上巻を読み終わった。仕事とはこういう風にするもの、仕事とは自ら創り出すものということを実践してきた人の30代までが描かれている。
渋沢は現実的だった。あくまでも現実的。尊皇攘夷運動に身を置きながらも、志は志として、常に自らを活かすことを考え、幕末から明治維新を生きた人間がそこに描かれている。単に感情に流されることなく、現実的な判断を心がけ、自らに正直に活きる。
尊皇攘夷でありながら、欧州に学び、帰国後はその知識を活かそうとして懸命に努力する。表面的に見れば一見矛盾しているように見えるが、冷静な思考のもと現状を分析し、世の中に貢献できる道(渋沢の頭の中には常にここがあったのだろう。それが表面化する方向が、尊皇攘夷運動であったり、慶喜であったり、明治新政府であったりしただけのことだ)を考えた上で、自らの出処進退を決める。
そして目標を定めたら我武者羅に仕事に励む。自分の経験を一切無駄にはしないその生き様・・・大したものだと思う。
後半は・・・これから読みます^^
雄気堂々(下) 城山 三郎 新潮社 1976-05 by G-Tools |