面白い本だ。
数学なんて役に立たない科目だと考えている親や中高校生は是非読んだ方がいいだろう。また数学を生活で役立てるためには、数学を勉強するだけでは駄目で、常日頃から数に対する感覚を磨く必要があることについても解説されている。
全体を理解する上でポイントになるのは図6だ。これをよーく見れば、日頃の観察の大切さ、数学の大切さ、微分・積分も役に立つのだということを理解する助けとなるだろう。
妙に納得させられるとともに、ここまで徹底して数字にこだわるのはこれはこれで難しいと思いながら読んだ。まあ、自分のできるところから初めて続けることが大切だということだろ。
数に強くなる 畑村 洋太郎 岩波書店 2007-02 by G-Tools |
内容は、著者の経験に基づいた数との付き合い方やその訓練方法が書いてあり、自分の数との付き合い方を考える際、いろいろヒントを与えてくれる。
まあ一言で言ってしまえば、「習うより慣れろ」、「継続は力なり」ということでしょうか。数の感覚を磨くには、日々の経験をいかに多くつむかしかないし、これは他のことでも言えることで、そういう点でうなずくところが多い。
これは英語にも通じるようで、英語をマスターするのに多読を進めている「めざせ100万語!多読で学ぶSSS英語学習法」 (高嶋君のサイトに紹介されていました^^)というのがあるらしい。
本書は、内容が興味深いのはもちろん文章が読みやすいので一気に読んでしまう。安心してお薦めできる本である。
後半は実践的な数字の使い方が出ており、役に立つ。どういうのが出ているのかは、自分で確かめてみるといいだろう。
最後に見つけてしまったので、間違いを一つ指摘しておきます。
本書210頁に「ニッパチの法則」というのが出てくる。これは今話題のロングテールにも関係する数字だが、この説明の中で、「収穫量低減の法則」というのが出てくる。本文にも「経済学の方面では」と断って書いているので、経済学の文脈で書いてあるのだろうが、間違っている。正確には、「収穫逓減の法則」だ・・・って、指摘するまでもないことだけど。
まあ、こんな間違いを差し引いても本書は非常に面白く、いろいろ為になること間違いなしだと思う。