日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

サイロからレイヤ、そしてモザイクへ

85年、日本において電気通信事業が自由化され、電電公社が民営化されたとき、今日の情報通信産業を予測できた人はいまい。それほど現在の電気通信産業の産業構造は大きく変わってきている。

この大きな流れは、2種類の技術を基盤にして起こってきたものだ。

  1. インターネット
  2. 無線

インターネット技術は通信産業のあり方を根本的に変えた。集中型から分散型への転換である。さらに通信サービスを層化してきている。これもその根本にはインターネット技術に基づいた7層構造がある。

現状の通信産業を分析するときは、7層のような細かいものではなく、コンテンツ、プラットフォーム、ネットワークという大まかな3層に分けられることが多い。実際、細かく見ていくと、レイヤ間をまたいでサービス提供やビジネス活動をしている企業は多くあり、必ずしもこの3層に分ける見方できれいに分類されるというわけではない。

しかし、現状の情報通信産業の発達を前提にしたとき、この見方はわれわれに混沌とした産業構造に一つの視点、今後の産業の発達の枠組みを与えてくれている。

一方、無線技術はどうか。

これはいままで固定網中心の通信産業に明確な代替手段を提供することになった。アクセス回線の複数化である。固定網もそれはその中で複数化してきていた。例えば、CATV網のインターネット接続への利用、メタル回線を利用したADSL光ファイバなど。しかし、これらの技術はすべて電話交換機やサーバーから顧客の宅内機器までを結ぶネットワークを短期的には電話会社やCATV会社の既存のネットワークに頼らざるを得ないという特徴を持っている。

無線技術は、固定網に比較すれば、参入コストは低いと考えられる。そしてその無線技術を利用した通信サービス=携帯電話サービスは昨今の競争により固定電話と代替関係が取りざたされるにまで成長している。

実際、市場はFMCという固定と無線の融合サービスを志向しており、両市場は一つの市場となりつつあるといえるであろう。

アクセス技術を縦軸に、レイヤ構造を横軸にして、情報通信産業を表すとき、モザイク模様として表現できる。

このような見方をとることによって、規制する範囲は必要最低限にとどめることができ、無用なレントやそれを前提とするレントシーキング活動が不可能になり、より自由な競争環境が実現されると考えられる。

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