NTTが昨年11月、中期経営計画を発表した。
そこで2010年度末までに3000万の光回線を整備するという目標が示されたわけだが、この数字が考えられたそもそものインセンティブは何なのだろうか?
僕が外側の人間として感じるのは、ソフトバンクグループに対抗するための差別化戦略として取りうる一つの選択肢であったのではないかというものだ。
他に考えられるのは、技術決定論になるが、優れた技術は優れた社会を作り出すという考え方のもと、(現状では)究極の伝送媒体である光ファイバを次世代のネットワークとして整備していくというものだ。技術決定論はしばしば批判されるが、それは今後の対応次第だろう。ここからユーザが望むものにチューニングしていけばいいのである。市場で独りよがりにならないことが重要だ。
その他のインセンティブも当然考えられる。例えば、IT社会のキラーコンテンツが何かしら伝送速度の大きな双方向通信を必要とするものであった場合、当然、光ファイバはそれを送るのにもっとも適した技術の一つとなるであろう。でもそのキラーコンテンツが見えないのが現状だが・・・
現状の情報通信市場、特に、レイヤ下部は、不完全ながら競争市場であることは確かで、そこにはユーザ側から取捨選択が行われる。マーケットが何を望んでいるかを取り違えるとあっという間にトップから滑り落ちることになるのが今のIT業界だろう。
技術的なトレンドから見れば、将来的にネットワークがすべて光化されていくのは自明のことのように思える。問題なのはそれが持つ性能をいかに使いこなすかということに、やはり行き着くのではなかろうか。
メタルケーブルより光ファイバの敷設単価が安くなってしまえば、メタルの耐用年数が来たとき、再度メタルケーブルを敷設しようとはしないであろう。光ファイバを単なるメタルの代用品で終わらせてしまうのか、問題なのは光を絶対的に必要とするサービスをどのように生み出してくのか、その仕組みができていない、あるいはわからないことではないかと思う。
そこがうまくかみ合わさったとき(☆ω゚)ノ[祝]ヽ(゚ω☆)、3000万加入の重みがみんなに理解されることになるのだろう。
このように考えると、ソフトバンクグループのビジネスモデルとNTTグループのビジネスモデルはまったく正反対であることに気がつく。ソフトバンクグループは「上から下へ」のビジネスモデル。NTTグループは「下から上へ」のビジネスモデルだ。