日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

翻訳「ブロードバンド」出版への道6

原稿がやっと完成し、出版社に渡された。当初つける予定でいた用語集はつけていないし、訳注も2箇所ほどあるのみのほぼ原著を翻訳し、そのままで出版される形になる。

この後、校正が2度あって、われわれの作業はすべて終了する。

ぎりぎりだが、2005年3月中下旬に書店に並ぶかどうかというスケジュールになっている。

監訳者には慶応大学の井手先生にお願いした。監訳者の当然の役目であるとはいえ、先生には忙しい中、訳文のチェックをしていただき、本当にお世話になった次第である。ありがとうございました。

最初にも紹介したが、翻訳した原著は、Broadband: Should We Regulate High-Speed Internet Access?というタイトルの書籍で、米国のブロードバンドサービスに関する規制について議論されたカンファレンスに提出された論文を収録したものだ。収録されている論文の著者たちはいずれも一流の研究者であり、論文の程度もレベルが高い。

今回の翻訳で難しかったのは、やはり原著が複数の論文を集めたものであり、用語の使い方がばらばらであったことだ。またこちらは仕事上英語を翻訳する機会があまりないため、それで戸惑ったのも事実だ。英語の資料を読んだりすることはあっても、訳すことはほとんどないので、外国語を日本語に「翻訳」するということの難しさをこれでもかと痛感させられた。

内容としては、理論と実証そして政策論議という内容でバランスが取れていると思う。現在、日本の通信政策でも競争評価が行われており、経済分析の米国での応用例として参考になるのではないかと思う。レベルとしては学部専門課程から大学院の産業組織論や競争政策、公益事業論などの授業の副読本として活用できるのではないかと思っている。またブロードバンド競争の今後に関心を持っている一般のビジネスマン、情報通信産業に関連している方々にも有益ではないかと考える。

今回は予定より1年半遅れで原稿を提出することになり、出版社の佐々木さんには非常にお世話になった次第である。本当にありがとうございました。まだ校正等が残っていますが、よろしくお願いします。