日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

料理とプロジェクト

TVの料理番組を見ていると、料理とは非常に簡単なものだとついつい思ってしまう。

そのように見えるのは当然で、材料はすべてその料理用に切り分けられ、並べてある。調味料も必要な分量をすべて小皿にとりわけ、しかもそれらの食材等は入れればいい順番に並べてある。カメラの前ではそれを手際よく進めていくわけだから、簡単に見えるし、できた料理だってまずいわけはない。

ところが、いざ、自分で料理をしてみるとどうか?そんなに簡単なものではないことが分かる。ちょっと覚えてくると、料理は段取りが大切であることにいまさらながら気がつく。だから火を入れる前にすべての食材、調味料を取り揃えておく。ここまでくればテレビのそれとほぼ同じで、失敗することはまずない。

今度は・・・である。初めての料理に挑戦しようというときは、ちょっと覚えた段取りもなかなかうまく機能しない。それは当然だ。段取りそのものが分からないのだから。そうなると試行錯誤的行動がそこここに入るようになり、できばえも非常に怪しくなる。でも実は料理の楽しさはこの試行錯誤の過程にある場合もあるのだと思う。

でも人に食べさせるときは、そのような試行錯誤があったことを微塵もにじませてはいけない。悟られてはいけないのだ。

実はわれわれの仕事も似たようなところがある。多くの場合、一つの仕事に対して、具財の切りそろえ方から調味料の利かせ方まで、レシピなしで文字通り試行錯誤の過程を繰り返し作り上げていくものだからだ。またレシピがあったとしてもそれがそのまま使えるわけではなく、多くの修正をともなうことも間々ある。そのようなところでいろいろ試行錯誤をすることは、非常に有用な情報を得ているのであり、本来、歓迎すべきものだと思う。(苦しいのは苦しいけど)しかし、実情はその部分に十分時間をかけられない場合が多く、中途半端な対応になり、同じようなことを繰り返すことになる。非常に悲しむべきことだ。

出来上がったものだけを見ていると、テレビの料理番組と同じで、調査研究という仕事も内容の重さにはなかなか気がつかず、表面的なできばえのよさにだけ目が行き、かつ比較的簡単にできるように見えてしまう。実はそうではないと気がついたときにはもう手遅れで、どうにかこうにか仕上げるという状況になってしまう。今後の要改善点だと思う。