日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

加入市場の構造

日本テレコムKDDIの格安加入電話サービスの開始で加入市場がにわかに騒々しくなってきた。

加入電話の基本料市場の規模は、全国で1.4兆円ほどあり、これまでほぼNTTグループが100%のシェアを維持してきた市場である。実は、この市場があったからこそ、NTTは格安な接続料金の設定を受け入れ、結果としてADSLなどブロードバンドサービスで世界一安い料金を実現してきたと言える。

ビジネス上、毎期毎期、安定した収入を計算できるサービスを持っているということが経営にとってどれだけ幅を持たせるかちょっと想像すれば分かるであろう。

NTTグループの場合、それが基本料市場の1.4兆円だったと言える。携帯電話市場でも50%を超えるシェアを奪い、かつ利益率も高いが、携帯市場はいつどのタイミングでシェアが逆転するか分からない非常に不安定な市場である。それに比べれば、固定電話の基本料市場は収支相半ばする利益率の決して良好なサービスではなかったが、毎月のキャッシュフローは安定していた。

この市場が今回、競争の真っ只中に置かれることになる。

その構造がどうなるかをちょっと考えてみると・・・加入市場には固定サービスと携帯サービスの二つがある。各々は音声とデータ通信の2つの用途がある。

固定市場についてみると、データ通信市場はBBアクセスの競争の激化に端的に見て取れる。現状での日本のBBサービスのアクセス料金(月額基本料)が安いのは、その料金設定方法にある。音声市場は加入電話ISDNの加入市場はほとんど競争がない市場であった。実は、われわれもイメージとしては、音声の基本料市場はこれからもこのまま無競争で存続し、BBサービスにおけるIP電話の普及とともに自然消滅していくというイメージをもっていた。

ところが今回のソフトバンクの参入である。この参入は短期的または中長期的にどのような影響を通信市場全体に及ぼすのであろうか。おそらくIP電話を含めたBBサービスへの通信市場全体の展開が早まるのではないかと考えられる。その中で、今回の加入市場での競争が進展する過程で、現在、日本の通信市場の枠組みを形作っている規制(支配的事業者規制)は再検討されることになるのではなかろうか。