日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

ネットワーク効果の計測2

現在、メンバーが、先ほど紹介した田中辰雄(2004)「ブロードバンド・サービスの競争実態に関する調査」(競争政策共同研究センター共同研究)のネットワーク外部性とスイッチングコストに関する章をまとめながら勉強している。

これが最終的には報告書の取りまとめになり、我々が外部効果を計測する際の基本的な知識として蓄えられていく。最初は何をやっているのかわからずにやっていたことが、半年も経てば理解できるようになるだろう。

ネットワーク効果を計測する方法として、今回はアンケート調査を使った方法を考えている。ネットワーク効果を計測するにあたってどのような項目を聞く必要があるか、十分吟味して調査票を作成する必要がある。どのようにしてネットワーク効果あるいはその代理指標をアンケート調査で捉えるか、またそのデータを使うにはどのような方法論が適切かを検討しなければならない。場合によっては方法論に制約される場合もあるから、ここは慎重に進めるべきである。

我々が明らかにしなければいけないのは、競争政策上問題となるようなネットワーク効果(NE)やスイッチングコスト(SC)が携帯電話市場に存在しているか否かである。それでは、携帯電話市場で競争政策上、ネットワーク効果やスイッチング費用の存在が問題になるのはどの部分であろうか。またNEやSCが存在するとき、市場での技術革新が活発であれば、両者を比較して技術革新の度合いがNEやSCの影響を凌駕するほどであれば、たとえNEやSCがあっても問題はないとする考えがある。ということは、われわれは携帯電話の技術革新もモデルに加味して分析する必要が出てくる。

上記の問題設定をどのようにするかで、アンケート調査で聞く項目も変わってくるであろう。無味乾燥とした概念の理解は大変だが、調査票を作成し、実際に利用者の行動を写し取り、それをモデル化し分析する。実証分析はここからが楽しいところである。

さて、とりあえず、どのような分析視点になっても必要なアンケート調査項目としては・・・

契約会社、契約時期、チャーンの経験の有無、ある場合はその時期
利用料金プラン、割引サービス(家族割り、長期割引、等)、毎月支払額(通話料、基本料別?)
利用端末の種類、端末買い替え時期、ネットワークサービスの付加価値、

技術革新の代理変数としての携帯電話サービスの多様化度を示す指標:Java機能搭載、カメラ搭載、メール機能搭載、ブラウザ機能搭載、等。

回答者の属性(性別、年齢、居住地、所得、家族構成、家族人数、等)

その他のデータとしては、

会社別契約数(調査時点)

簡単に思いつくものとしては以上のものがある。