GoogleやIBMなどIT関連の巨大企業を中心に盛り上がっている量子コンピュータだが、いろいろ記事を読んでみるとだいたい以下のような状況らしい。
まずは理論面だ。
量子コンピュータは、量子力学の理論の応用としてその実現が可能なことが示されている。従来の0と1で計算を実行するフォンノイマン型のコンピュータと比較すると、その計算単位が量子現象?の重ね合わせなどにより0、1ではなく、キュビットと言われる単位で計算され、これは重ね合わせの効果により計算量が飛躍的に大きくなり、従来の2進数の世界での計算速度をはるかに上回る。これにより高速な計算速度を得ることができる。
量子コンピュータとは何か (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: ジョージ・ジョンソン,George Johnson,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/12/09
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 186回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
つまりざっくり言って、理論面では実現可能なコンピュータとして証明されているのが量子コンピュータだ。では現在の理論面の課題は何か?過去から理論的にその原理や性能は明らかにされており、理論面の検討は今、どの段階にあるのか・・・という点はさらに整理して行きたい。
では理論を実際の機械として作り上げるエンジニア面ではどうか。
いろいろな企業、海外ではGAFAやIBMのITジャイアント、日本でもNTT、富士通等が積極的に取り組んでいるここが一番喧しい。今回の量子コンピュータ周辺の賑わいはこの辺りが震源地だ。
実用に耐えうる量子コンピュータの開発が上記を中心とした主要なICT企業で行われている。自分がいくつかの文献を読んで見たところ、難しいのは量子現象を実現するための環境、絶対零度という極超低温などを実用的なレベルで実現する方法の開発などだろうか。
量子現象を実現する方法?にはいくつかあるらしく、各社がここを競っているように見える。それは理論面から見た時、純粋には量子コンピュータとは言えないものもあるようだが、要は理論上予想されるのと同じような効果が出ればいいということだろう。
すぐに可能になりそうな印象を持つが、数年では無理かもしれない。それよりもう少し長い目で考える必要があって、そんなに遠くない未来、実用的な量子コンピュータが出てくる可能性が見えてきているという状況と言ったところではないか。
現在のコンピュータの開発史で言えば、1930年から40年代ぐらい、エニアックが開発される前夜というところではないか。もしかしたらそれよりも今少し前の状況かもしれない。
応用・利用面
そう考えると次に何に使うのかが課題になる。
いくつかのITジャイアントが実施している一部をオープンにしてアルゴリズムやプログラム?を検討できるようにしているのは、その応用面を検討してもらうためだ。
現状は、因数分解や最適経路が具体的な応用面で言われているが、それだけなのだろうかというところだ?現在のコンピュータもその開発当初は、弾道計算とかそのようとは限られていた。現在の量子コンピュータも同じような状況というところか。
つまり現在のコンピュータの黎明期はこの機械が将来どのような使われ方をするか回もう見当がつかなかったが、量子コンピュータはまさにこれまでの経験があるからこそ、今後の可能性が期待されるわけで、その際、何が必要か・・・応用面、実用面の領域を広めるために何をする必要があるかが問われている。
いくつかの企業が、量子コンピュータを体験できたり、プログラムを開発できるように公開しているのは、このようなこれから検討される利用用途を広げるためだ。そのためにはアルゴリズムやそれに基づいたプログラムが必要になり、そこをオープンにすることによって、多くのプログラマやソフト開発者を養成するとともに開拓しようとしている。ここを抑えたものが勝者になるということは現在のコンピュータの世界を見れば一目瞭然だ。
先は長いのか、あっという間なのか分からないが・・・興味は尽きない。