こういう見方が正しいかどうかは考える余地はあるが、とりあえずメモとして残しておく。
供給側の視点
日本については、必ずしもキャッシュレス化が遅れているとは言えない。
個人が使える国内の決済手段として、クレジットカード、デビットカード、電子マネーがそれぞれ提供され、利用されている(仮想通貨でさえ徐々に使えるようになってきている)。利用環境*1としては他国と比較して必ずしも遅れていない。
需要側の視点
一方、利用側の視点で、海外と比較してみると、欧米諸国等の「2015年の民間消費におけるカード決済(クレジットカードとデビットカード)の割合は、(中略)平均的に約40%である」とのこと。つまり確かに高くない水準にある。下記のレポート参照。
このように利用側の視点に立つと、経産省資料2ページの通り、日本は遅れている国に入ると言える。各国間で普及状況に差があり、その背景には各国ごとの事情があるので一概には低いとはいえない。ただし、観光立国として、海外からの観光客の利便性を考えたときどうだろうか。
その海外では、キャッシュレス化の背景には、信用情報や治安・衛生の問題が大きいと言われいている。日本はそこがあまり問題にならないのではないか。一方で、クレジットカードそのものに情報漏えい、不正利用等の不安があるのが日本の利用促進を妨げている。
またクレジットカードを決裁するとたまに手数料を上乗せされることがあり、負担増になってしまうという認識もあるのではないか。そうなると料率そのものが高いのではないかということになるか。
そうならば銀行デビットカードがもう少し普及してもよさそうだが、そうなっていないというのも不思議(これは銀行とクレジットカード会社の関係など市場構造が影響している可能性。金融業界が寡占体制であることの問題*2)。
タクシーなどで普及がなかなか進まないのも、ドライバーからすれば、同じ料金なのに手数料分だけ手元に残るお金が少なくなるので損という認識なども結構大きいのではないか。車上強盗にあって売上を盗まれるリスクよりも、手数料を払う方が費用として大きく感じる。
以上の通り、供給側の視点では必ずしも遅れているということにはならないが、使う側(B2B2XのミドルBとXの各々)の社会の状況(治安や信用情報の確からしさ)、技術の普及度合いあるいは技術に対する信頼度、その利用の費用など総合的に見たときに、日本はいまだ現金決済のニーズが高いということ・・・その裏返しで、キャッシュレス化が遅れていることになる。
東京オリンピックや観光立国ということを考えれば、この状況はやはり改善したいところ。海外からのお客人が支払いで困らない環境を提供する、キャッシュレス化のいつでもどこでもが必要となる。