日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

見える化の時代:まだ見える化していないところはいたるところにある

AI・IoT(ビッグデータ)は、主に社会、人間の行動として今まで見えなかったものを見えるようにしている。その見える化によって新しいビジネスチャンスが生まれているのだ。昔はGoogleの検索がそうだし、最近ではシェアリング・ビジネスがそれ。シェアリング・ビジネスは自宅や車などの資産の使っていない時間がICTで把握できるようになったことで可能になったビジネス。

今更と言われると思うが、見える化することによって今までは把握できていなかったことが把握できるようになり、今までの常識を覆すようなことはこれからもいくらでも起こりそう、その多くは新しいビジネスとなり既存のビジネスを変革するきっかけとなるだろうと先日参加したセミナーで思った次第。

Sports Brain Science Project(スポーツ脳科学プロジェクト)

こういう見える化は、サイバー空間と言われるところではある程度進んできているが、リアル空間での見える化は、人間の行動レベルのミクロからマクロまでいろいろなレベルでこれから本格的に行われるだろう。

先日、とあるセミナーで知ったのだが、人間のミクロレベルの見える化の範疇に入るのか?って感じだが、NTT研究所の柏野牧夫氏らのグループの研究が面白い。

sports-brain.ilab.ntt.co.jp脳科学なのだが、彼らの取り組みは以下のようなもの。以下、引用。

「Sports Brain Science Project(スポーツ脳科学プロジェクト)」とは、スポーツの上達支援法を開発する研究である。しかし、単に筋力や心肺機能を高めるための研究ではない。身体を最適に操り、精神状態をうまくコントロールできるよう、効率的にパフォーマンスを高めるための方法論を探ることを目的としている。
ここで必要となるのが、「潜在的な脳の働き」を解き明かす脳科学の知見と最先端の情報通信技術(ICT)だ。新たに得られた脳科学の知見を活かし、ウェアラブルセンサやヴァーチャルリアリティ、機械学習といった最先端のICTを活用したビッグデータの蓄積と分析により、新しいトレーニング法を確立すること。それが、「勝つための脳をきたえる」研究である。

彼らの研究は、選手の行動をビッグデータとして取得し、それを分析することによって今まで分からなかった、一流選手が一流選手たる所以を明らかにしようというもので、現に明らかにしつつある。それによると、単に筋力や心肺機能の差が一流であることのポイントではなく、それはあくまでも一つであって、実は「潜在的な脳の働き」が鍵を握るというものだ。

先日のセミナでは、野球を例にとり、視覚から入ってくる情報とそれをどう処理するかについての講演だったが、非常に興味深い内容だった。彼らの研究成果の一部は上記HPに公開されている。

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NTTファシリティーズの取り組み

そしてもう一つ・・・こちらも同じ日のセミナーで行われたものだが、ビルディングのAI・IoT化の事例だ。この時はNTTファシリティーズの取り組みの紹介であったが、その内容は大きくは3つの話題からなっていた・・・「空間設計」、「空調設備」、「構造」。それぞれでIoTやAIを使った取り組みが行われており、より快適で、より安全なビルの提供を目指していることが紹介されていた。

例えば、「空間設計」では、センサー技術を用いた社員の行動分析を通して最適性と快適性を兼ね備えたオフィスを設計、構築、運用しているということだ。また「空調設備」では空気環境の快適品質を可視化・制御してより快適なオフィス環境を自動制御で提供するような建物の提供といった具合。さらに「構造」では、非常時に建物内の人の安全を守る建物の安全評価・機能性向上に取り組んでいる。

いずれの取り組みもAI・IoTによる情報の収集蓄積解析が前提だ。それでオフィス環境や構造のいろいろな特徴が見える化され、それに基づいてこれらの新しい付加価値を付与したビルの提供につながっている。

Oldメディアの見える化

見える化は、Oldメディアでも起こっており、週刊誌が最近争って掲載しているゴシップ記事も、AI・IoT技術による見える化が進行している今の時代だから出てきたことではないか。こちらは最先端技術というわけではないが、今では誰でもが使うようになったSNSによる社会の中の見える化の一種と言えないだろうか。

OldメディアがSNSをセンサーとして使い、世の中のいろいろな情報を吸い上げ、自分たちのネタにするというなんともなあという使い方なのだが、ゴシップ記事はいかがかと思うが、すべてがすべて否定されるわけではないのは言うまでもない。

見える化はまだまだこれから

人間の内臓器官、建物の環境や挙動、ビジネス活動、日々の生活・・・この世のありとあらゆるものが見える化されていく世界。もう日本のICT企業がGoogleに追いつくのは無理だろうとか言われている。確かにサイバー空間の情報では無理かもしれないが、その他の空間ではまだまだ可能性は残されているのではない有ろうか。

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それは5Gという技術の登場が一つのポイントとなるのではないか。今後のICTは5Gという次世代の携帯電話網が構築され、「高速大容量」の他に、「低遅延・高品質」、「多機種同時接続」というこれまでにないネットワーク特性が提供され、それを活用したサービスも可能になるらしい。それはAI・IoTをビジネスに使いやすくするものになるだろう。そのように考えると、センサー技術等を使った社会や人間行動の見える化はこれからさらに進んでいくのではないかと思わないではいられない・・・とすれば、それに伴うビジネスもいろいろなところで花開くだろうし、Old産業の中にはそれがきっかけになり、変革の時代になるかもしれない。

ながながと取り留めのないことを書いてしまった・・・orz

読んでいただいた皆様、ありがとうございます。

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