日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

いろはのと:情報の蒐集、知識の集積

くどくど書きすぎているので、それでもよろしい方はどうぞ!

研究としてテーマの発掘をするために、情報をしっかり収集することは必要条件の一つ・・・そんなことは分かっているよ!って誰もが思うが、それでも忙しくなるとついつい後回しになるものだ。

混沌とする世界の情報蒐集

今のICT、IT、情報通信の世界って大きく変革している中にある。インダストリアル・インターネットとか、インダストリー4.0とか、古くはWeb2.0とか*1、現在のICTを起点とした変革を表す言葉がいろいろあるように、それは経済社会のあらゆる分野に影響を及ぼす。そのため、我々、ICT業界を研究対象にしている者からしてみれば、どこに注目し、どのような情報を蒐集すればいいか迷うところだ。

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特にシンクタンクのような稼業では、収集された情報がそのままクライアントに対する売りになって行く*2わけで、これまでのクライアント、新しいクライアント、未知のクライアントとどのお客さんの立場で対象を見るかでも変わるだろう。

現在のあるいは今後本格化する混沌とした世の中でどの分野を蒐集するかがまず最初の課題だが、それと同時に蒐集された情報をどのように整理するかがより大切かもしれない。

整理するための分類フレーム

現状を理解するのに情報をどのような分類フレームで整理するかはいくつか視点がある。それは情報を蒐集した後、その情報をどのように使うかにかかる。それは、以下の通り、誰もが使っているフレームが基本になる。

まずは従来からマーケティング分野で使われてきた、現状把握の枠組み・・・3C(自社、競合他社、顧客)、PEST(外部環境)、バリューチェーン(サービス・機器の価値の源泉の把握)、5F(収益性の検証)の視点で蒐集する。これらの蒐集された情報を、分析フレームに応じて企業あるいはサービス起点で柔軟に組み直せばいい。

その際、SWOT(強み弱みの把握)、STP(顧客の絞り込み)、4P(価格、サービス・製品、流通、販売促進、つまり戦略の策定)の分析をする際の視点も忘れずに入れておくことだ。例えば、サービス起点で考えるならば以下の通りか。

  1. サービス・機器(ターゲットを絞る。スペック(価格や各種性能)の把握)
  2. 技術(ターゲットに使われている要素技術。端末、ネットワーク、コンピュータに分けて、各長所・短所を把握)
  3. 提供企業(財務、技術、戦略を把握。企業の中でどのように位置付けられているか)
  4. ユーザ(市場に受け入れられているか:消費者、企業(ユーザの評価は?))
  5. 政策・規制(関連する制度。通信政策に限定せず政府の成長戦略や他省庁のICT施策など)

例えばこんな感じ。この他に、PESTのうちの政治、経済、社会の状況を把握しておく。ICTの場合、技術は外部環境要因ではなく、内部として位置付ける。

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ICTサービス・機器が提供されるときは、技術的には、端末、ネットワーク、コンピュータ*3の3つの要素がバランスしたところで提供される。だから技術の部分をその3つの視点できちっと整理しておくことは大切。それによっていろいろ見えてくることが違ってくる。

提供企業は、財務、技術、戦略の3点から整理する。昔だったら通信事業者、SIer・ベンダー、メーカということになるが、今だとOTTや利活用企業にも目を配っておく。ユーザ企業なのか、提供企業なのかその両面を兼ね備えているのかという分類に困る企業が必ず出てくるであろう(MVNEの中にはそういう企業がいるのではないか)。それは消費者も一緒で、ICTを使ってビジネスをしている人もいる・・・トフラーが言ったところのプロシューマーだ。この人たち、まだ少数派だろうけど、こういう企業・人が出てくるとこれはこれで要注意だろう。

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外部環境としての政策・規制は、情報通信だけでなく利活用先のものまで視野を広げる必要があろうし、社会の状況をどのように捉えておくかも分析・予測には大切な要素だ。ただし、外部環境の蒐集・整理は後でもいい(が、無視してはいけない)。

これらの視点は互いに重なり合う部分もあり、裏表の関係のものもあり、その時々の課題の設定によって蒐集フレームは変化すると考えておく必要がある。

つまり何をテーマ・課題として見ていくか・・・だけど、それはその時々のクライアントや研究者によってさまざまになるだろう*4。特に今の世の中、課題山積だから、どこに注目するのか、自分たちはどこで貢献して行くのかをしっかり見極めて分類の視点を決めることが大切になる*5

質の高い研究をするためにも

研究というのは、この情報蒐集の後にもやることが控えている。この蒐集情報をどう料理して付加価値をつけるかがその次にステップとして突きつけられる。理論に基づき体系づけて整理し仮説を導きだせばいいわけだ。これまでの情報蒐集はこれを行うための前行程であったわけだ。そしてその情報で仮説検証する。

それにはどのような理論を身につけるかが大切になるわけだが、それについては別途書ければと思う。さらに仮説の検証をどうするかという視点もある*6

これらの営みがPDCAとして繰り返し行われる。その度に理論は深化し、我々の経済社会、あるいはサービスの利用動向や企業行動の理解は深まる。

何はともあれ、情報蒐集はすべての始まりなので疎かにできないのだ。

 

*1:個人的には今のインダストリー・インターネットなどで言われていることは、Web2.0の延長線上だと思っている。

*2:分析とかで付加価値をつけるというのはあるが、数理モデルの世界や論理実証主義の世界でない限り、集めた情報の良し悪しが全てだといっても過言ではないだろう。

*3:電話屋だとここは交換機になるがそれだともう古い・・・と思う。

*4:提案のときは、ここが差別化のポイントを出していく上で重要になる。

*5:この部分は、全社の情報蒐集体制を考えるときは、基本は会社の戦略に依存する。細かいことは決めなくても大枠を決めて方向性を明確にすることがポイント。そうしないと蒐集された情報に濃淡が出ることになり利用しづらくなる。

*6:方法論は必要ないっていう人がいるけど、それは間違いだと思う。Howtoものがいっぱいあるのでそれをアンチョコにして分析すればそれなりのことができてしまう現在、方法論が軽く見られている・・・怖い時代だと思う。端的なのはアンケート調査だ。インターネットでやると格安でできるが、そこから得られる結果がどういう特性のものかをあまり考えないで使っていないだろうか。