最近、ICTに関する政策が語られるところでよく聞くようになった「社会実装」という言葉。
なぜこの言葉が使われるようになったのか?自分なりに考えてみた。
通信機器のネット化
ICT関連機器は、その昔、電話。その後、コンピュータや携帯電話といった顔ぶれだ。
ポイントはやはりインターネットの登場と情報の蓄積がサービスとなったこと*1。これによって通信はそれまでの通信とは質的に変化してしまったし、利用用途も格段に広がることになる。技術革新の波は、その動きを後押しするように、通信機器の多様化と利用先の多様化をもたらした*2。
さまざまな用途に使うから、そしてさまざまな機器が関係してくるようになるから、その使い方、応用方法は工夫次第でいろいろできるし、そうなると逆に個人個人にはうまく使える人使えない人いろいろで限界が出てくる。その限界はそのまま社会での利活用の限界にもなろう。
ハードからソフトへ
だから、利用目的がシンプルだった時代は単に通信機器を売ればいい時代だったが、今はそうではなく、それを日々の生活の中で、社会活動の中でどのように使うのかまで、その方法までサービスとして提供しないと潜在的な価値が顕在化しない、つまりビジネスにならない時代。
だから社会実装という言葉でそれを意識的にやっていきましょうという声かけになる。それをやらないと付加価値は産み出せないし、稼げないんだからグローバルな時代には勝てない。
ハードで儲けられないからソフトに出るのではない
現状、社会実装ということが言われるように、単に通信機器を売るだけではビジネスにならないし、購入者もそれを活かしきれない時代なのだと思う。IoEやこれまでの通信機器の普及(典型的にはスマホとタブレット)があらゆるモノや情報をネットにつなげ、いろいろなことができるようになった。
繰り返しになるが、昔の通信サービスは目的が明確で使い方はシンプルだった。それがそうではなくなっているのが今の時代。
スマホを使いこなすのに誰かのアドバイスを必要とする人が増えたように、ビッグデータの時代はそれを社会で利用するためにはそこをちゃんと考えていかなければならない。だから通信機器メーカの人も、通信機器だけでなく、その周辺市場のソリューションもやらなければならない時代になったということ。
通信機器が安くなって、海外メーカにシェア取られて収入が減ったから仕方なく周辺市場に出るのではなくて、今のICTの流れから周辺市場のソリューションを手掛けるのが必須だということ・・・というように積極的に位置づけるとだいぶ業界の見え方が変わってくるのではなかろうか。
Enablerがキーになる?
こうやって考えてくると、NTTが光卸を始めたり、総務省が政策としてMVNOサービスを推進したり、METIがCPSを志向したりするのも理解できる。
それほどICTサービスは複雑になってきた、利活用をするのが一筋縄ではいかなくなったということだ。そしてその複雑さをうまく利用してビジネス化したものが市場での勝者となる。だから、仲介的なビジネスをするプラットフォーマーやイネーブラーと呼ばれるプレイヤがこれからは大切になってくる。
これから10年のトレンドか?
デジタル化してモジュール化した機器やサービスをどうやって結び付けて社会実装していくか・・・そこがこれから10年のポイントになる。