やはり価格指数がないと無理だということでいろいろ探した結果、日本銀行の企業向けサービス価格指数が見つかった。これには、有料道路という項目の下に、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路という価格指数があったので、このうち高速自動車国道と都市高速道路の価格指数を使って推定することにした。
いろいろ試行錯誤の結果、推定方法はPrais-Winsten法を採用し、いくつかのダミー変数を入れた結果、以下のような推定結果となった。
決定係数は劇的に改善し、価格指数の符号条件、t値も有意となり、シミュレーションを行える推定結果となったと判断できる。強いて言えば、ダミー変数が何の影響を除去するためなのかが特定できていないという点が課題だ。
推定結果を視覚化すると上記のグラフになる。これまでの推定結果とあまり変わらないように見える。赤い点線で囲ってある部分が民主党の料金政策の期間だが、期間中の大部分でオーバーエスティメートとなっている。これをどのように解釈するか。
ちなみに下記のグラフは価格指数抜きのモデルの推定結果を視覚化したものだ。
1000円料金の期間を見ると、こちらではアンダーエスティメートになっている。
つまりモデル上想定される交通量まで実際は増えていなかったと解釈できるのではなかろうか。1000円料金は引き下げすぎということになろう。
このモデルを元に、中日本、西日本、首都高速、阪神高速、本四連絡道について推定してみると、それはそれで興味ある結果が得られた。
ここまでできたので、そろそろまとめに入らないといけない。研究ノートの構成は以下の通りを考えている。
- 目的
- データ
- 推定結果(NexCo3社全体と個社別の推定結果および都市高速道路等の推定結果)
- シミュレーション(料金引き下げがなかった場合とあった場合の理論上の交通量の差)
- 考察(社会的厚生の観点からの評価、ステークホルダー別に)
こんな感じで考えている。