読み終わった日がちょうど笑っていいともの最終日だった。夜のグランドフィナーレの時にはこの本で書かれている内容を思い出しながら見ていたような気がする。
笑っていいともが終わると聞いて、「ああ、そうなんだ」ぐらいにしか思わなかった人って結構いたのではないかと思う(たぶん30年以上続いたということで感覚として想像することができなかったのかと思う)。でも最後が近づいてくると、それがなんだか変なことのような気がして、なんかよくわからないまま最終日・・・そして夜のグランドフィナーレだったのではなかろうか。
タモリ、あるいはタモリが醸し出す世界って常にそんな感じだったんだと思う。その時その時で、タモリは画面でも、ラジオの向こうでも楽しんでいて、観ている方、聴いている方はそれが面白くて見聴きしていたけど、「だから何?」って言われると「別に」ってそっけなく答えるような空気があった。
そんな「タモリをもっと知りたくて。」と思っているあなたに、「デビュー時から現在までの、タモリのさまざまな発言やエピソードを丹念に読み解き、その特異性と唯一無二の魅力に迫る。」本がこれだ。
それはつまり「タモリにとって『タモリ』とは何か?」を問うことであり、我々にそれを自問自答させることで、タモリとは何だったのかの解説を試みようとした1冊だと思う。だから著者の設定したテーマに沿って読者それぞれが描くタモリ像は人それぞれで一つとして同じタモリはおらず、そのタモリ像をより鮮明にするために本書は存在するのだと言っていいと思う。
タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か? 戸部田誠 (てれびのスキマ) イースト・プレス 2014-03-26 by G-Tools |
内容は、序(タモリにとって「いいとも」終了とは何か)とあとがきの間に10のテーマでタモリをいろいろな角度から眺めている。こんな感じ。
- タモリにとって「偽善」とは何か
- タモリにとって「アドリブ」とは何か
- タモリにとって「意味」とは何か
- タモリにとって「言葉」とは何か
- タモリにとって「家族」とは何か
- タモリにとって「他者」とは何か
- タモリにとって「エロス」とは何か
- タモリにとって「仕事」とは何か
- タモリにとって「希望」とは何か
- タモリにとって「タモリ」とは何か
こんな感じだ。偽善、アドリブ、意味、言葉、家族、他者、エロス、仕事、希望、タモリ・・・どれもタモリを考えるときの必須単語として出ることに違和感はないのではないだろうか。
誰も関心のないような一見くだらないことを一生懸命やる、そしてやり続ける・・・するといつの間にか回りに人が集まりだし、くだらないことが面白いことに変わっていく、タモリは日常の無関心を逆手にとってそこに自分の存在場所を見出してきたのだろう。
裏表紙には、本文からの引用として次のようにある・・・「タモリは過去や未来にこだわることの不毛さに対し、若い時から(あるいは幼少時から)問題意識を持ち、考え抜いた末に『現状を肯定する』とい生き方を選択した。いかに執着を捨て、刹那的に生きることを選べるか。その実践として、『タモリ』がある。」
どういうことよ?って思う人はぜひ購読されることをお勧めします。
いいともが終わって1週間以上経つけど・・・日常はいいともがあった時と同じように、いつもと同じように過ぎていきますね。
そうそう大切なリンクを張っておく忘れてました。
この年表はすごい。そして一読の価値あり。