今回、珍しく金沢出張になった。以前金沢に行ったのは、NHKの大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』をやっていたころだったから、ちょうど10年前ぐらい。その時も、いたる本店さんにお邪魔した。それ以来となる。
酒と人情料理という文字とともに目に入る店の外観や入り口は当時と変わっていない・・・と思う。香林坊からちょっと奥に入ったところにその店はあるのだが、香林坊あたりは大分変ったような気がする(正確には覚えていない)が、いたるは前と変わらずその場に佇んでいる。
予約をしていなかったので開店直後に突入。カウンター真ん中やや入口よりのカウンターに陣取りまずはグラスビールでのどを潤す。この日は夏様な暑さでビールが美味かった。本当はもう一杯行きたいところだったが、金沢と言えば、いろいろある日本酒を堪能しなければいけないということで、ビールはグラスで一杯だけ。
お通しはバイ貝だったかと思うが、それを食べながら何を頼むか・・・まずは新鮮な魚の刺身を盛り合わせで頼んだ。
これです。一人前用の桶盛り。美味そうですな。これ食べちゃいました。甘海老、能登マグロ、カンパチ、生だこ、そして一番手前がタイなんだけど、何というタイかは忘れました。どれも新鮮で、甘味があり美味しかったです。
さてこういう美味しい刺身が目の前に現れて日本酒を飲まないわけにはいかないでしょう。いたるさんは、北陸の日本酒、特に石川の酒は地元だけあって代表銘柄がそろっています。天狗舞、菊姫、手取川などなど。そこで僕は、ここにきて日本酒を頼む人の定番であろう天狗舞の生貯蔵タンクに入った一杯を頂きました。
天狗舞・・・美味しいですね。そして刺身の次はその流れでサバの浅〆を頂きました。これがまた美味しかった。浅〆なのでほとんど刺身同然です。甘味が口の中に広がります。たまらない一品でした。
どうですこの写真に写るサバの美味しそうなこと。ほんとに美味しいのです。間違いありません。いやあ、今思い出しても垂涎モノです。
そしてここらあたりでお酒がなくなってきたので次の一杯を頼もうとメニューとしばしにらめっこ・・・やはり次は菊姫でしょう。山廃純米を頂きました。味の強いお酒です。このお酒は若かりし頃の大塚にあった居酒屋でさんざん飲ませてもらった思い出の日本酒でもあり・・・半分、あのころの思い出に浸りながらいただきました。
さて次の料理。ここらで少々口を変えたかったので、酢の物を一品・・・もずく酢を頂きました。
どうです?このもずくの極細なこと。もずくの太さはひとそれぞれ好みが分かれるところかと思いますが、僕の場合は細い方が好きです。このもずくはその好みにぴったり!これ以上細いのがあるかというくらい細かった。そして美味しかった。
そして次に頼んだ料理が一転して、揚げ物・・・とんかつです。ただしただのとんかつでは面白くないので、とんかつに醤油ベースの汁と山芋をかけて脂っこさを中和していただく一品。
美味しかったですね。でもとんかつじゃなくて他にもっと食べるべき魚介類があったのではないかと後になって反省した次第です。何せここは金沢ですから・・・普段はお目にかかれないものがあるはずだということで頼んだのが、ガスエビ。
これは金沢でしかお目にかかったことないんです。ガスエビ、名前がガスエビですよ。名前からして変わってるんですが、味はいいんです。甘海老より好きかも。そしてこの日のガスエビは大きかった。味噌も美味しかったです。チューチュー吸っちゃいました。お酒も進みます。
ガスエビを堪能したら、次はこれ。明太子入りだし巻き玉子焼き。ふんわり焼いてあって、明太子のしょっぱがらい味が口の中に広がってこれもお酒が進む一品でした。そしてお腹の中はそろそろフル充填状態・・・最後にご飯ものを頼もうかどうかと迷っていると、お店の若い衆が、「お客さん、ガスエビの頭、素揚げにしましょうか?」と嬉しいことを言ってくれました。もちろん頼んで出てきたのが、これ。
これは美味しかったです。サクサクでいい塩梅に塩がしてあって、それに絞ったレモンの香りが口の中で広がって、思わず「今日食べた肴の中で一番美味しい」と言ったら、その若い衆が、「それはないでしょう」と苦笑いしてました。でも本当に美味しかった。
ガスエビの頭の素揚げに満足して、お腹もちょうどよくなったので満足してお会計して帰路につきました。この日呑んだ日本酒は全部で6種類ほど。天狗舞2種類(ミニタンク、五凛)、菊姫、池月吟醸、あとは勝駒純米とお薦めの酒を頂いた次第です。一緒に「やわらぎ水」を出してくれるので深酔いもせずほどよい酔い心地で宿に戻りました。
10年ぶりのいたる本店さんでしたが、親方はやはり年齢を重ねたなと感じましたが、お店の雰囲気は当時のままではないかと。金沢にまた来る機会があれば絶対また来ると思いながらお店を後にしました。
ご馳走様でした。