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Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

佐藤雅彦・竹中平蔵著:経済ってそういうことだったのか会議

久しぶりに読了した。実は自炊して電子書籍化した書籍の中で始めて読み終えた本になる。

内容はメディアクリエーターの佐藤雅彦氏と経済学者の竹中平蔵氏の対談形式で進められる経済学のモノの見方をやさしく解説したものだ。

4532191424 経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
佐藤 雅彦 竹中 平蔵
日本経済新聞社  2002-09


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章立ては以下のとおり。

  • 第一章 お金の正体・・・貨幣と信用
  • 第二章 経済のあやしい主役・・・株の話
  • 第三章 払うのか 取られるのか・・・税金の話
  • 第四章 なにがアメリカをそうさせる・・・アメリカ経済
  • 第五章 お金が国境をなくす・・・円・ドル・ユーロ
  • 第六章 強いアジア、弱いアジア・・・アジア経済の裏表
  • 第七章 いまを取るか、未来を取るか・・・投資と消費
  • 第八章 お金儲けはクリエイティブな仕事・・・起業とビジネス
  • 第九章 人間とは「労働力」なのか・・・労働と失業
  • 終章 競争か共存
  • 会議を終えて
  • 会議 その後

本書は最初2000年の4月に単行本として刊行されたものだ。それを2002年に最後の「会議 その後」を加えて文庫化した。

こういう出版からある程度時間を経た本を読むといろいろ気付かされることがある。出版された時期はバブル崩壊から約10年ほどがたっていたわけだが、当時と今は状況があまり変わっていないのではないかという感想がじわじわと頭の中に湧き上がってくる。この20年間、我々は何をやってきたのだろうと改めて思う。

何が問題なのか・・・最後は結局われわれが自分たちで行動できるかという点がこの20年間ずっと問われ続けてきたのではないかと・・・そして日本はそれに対して自ら行動を起こし、問題を解決するまでには至っていないということに思い至る。

本書を読むことで、経済学や経済に対する偏った見方を修正してくれる(おのずと限界も語られる。例えば第九章など)。佐藤氏が経済や経済学に対する疑問を竹中氏にぶつけて、それを竹中氏が分かりやすい例をあげながら、本来の経済学の考え、経済の見方を説いている。それからもうひとつは、結局は経済を良くするのも悪くするのもそこに暮らしている自分達次第であるという点だろう。国はあくまでもその補助手段でしかないのに、そこに大きく頼り過ぎると、何の問題解決にもつながらないということだ。

本書の内容の大部分は2000年に対談されたものであるとは言え、本当にこの20年間・・・何やってきたんだろうって反省せずにはいられない読後感を持たされる一冊だ。


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