さて、先日の「日本の電気通信」に関する記事で、高嶋君から興味深いコメントがついたので、それについてもう少し妄想をしてみようと思います。提案された章建ては以下のとおり。
- 序章 電気通信産業の過去、現在、未来(-10年、0年、+10年の展望)
第1章 技術と産業秩序(自然独占の計測とその限界、技術進歩の指標、研究開発論、NTT論、ガラバゴス現象を生む技術標準)
第2章 規制緩和政策の評価(日本の規制緩和プロセス、政策評価論、内外価格差とデフレ、接続料金論)
第3章 競争戦略から見た電気通信(競争政策の裏返しとしての競争戦略、5F論、市場融合)
第4章 インフラ政策(インフラ更新、地域情報化プロセス)
第5章 メディア論(電気通信の需要分析とは、総余剰の考え方、社会へのインパクト)
第6章 ITとマクロ経済(ITと電気通信、TFPへの疑問、人口減少下の経済)
第7章 電気通信産業と他産業の比較(電気通信産業の特殊性、規制と非規制の境界)
第8章 いくつかのシナリオ(費用分析と需要分析の統合と予測)
終章 Open Question
序章と終章を含め、全部で10章建ての内容なので、そのひとつひとつをもう少し具体的にふくらましてみます。
まず序章。序章のテーマ、「過去、現在、未来」はタイミングとしても、-10年、0年(今)、+10年という区切りはいいですね。たとえば、NTTの再編や各種規制体系の変更があったのが確か1997年前後だったと思うので、ほぼ10年前ということで-10年に該当します。当時はインターネットとモバイルが大きく成長してきた時期であり、この業界の大きな曲がり角であった時期です。規制も大きく見直された(たぶん)と記憶しています。
そして現在。現在は2010年や2011年をにらんで放送市場も巻き込んで情報通信市場に大きな動きがあるであろうといわれています。当然、10年前の大きな潮流の変化がどういう業界を作りだされ、その背景には技術、規制、ビジネスがあったのか、現状を整理することになります。これは当然+10年を見極めるためにも必要な作業なわけです。
そして+10年。経済社会のマクロ環境やグローバルな環境が大きく変化しつつある中で日本がどのような位置づけになっているのか、それに対して情報通信はどのような役割を期待されているのか、あるいは役割を果たすべきなのか・・・10年という長期の視点で展望してみることは、現状、われわれは何をやりたいのか、何をやらなければいけないのかを明確にすることになり、政策論議をする上でも重要でしょう。
・・・と書くと、序章だけでかなりのことを書かなくてはいけないようになります。但し、ここは問題提起の章になるのでポイントを要領よく説明し、具体的な検討は後の各章で扱うということになるでしょう。執筆としては一番最後になるかも。
さて序章をもう少し具体化するか、とりあえず各章を全体の中で整理して位置づけを明確にしていくかは、明日考えようと思います。
これ、本当に本にできたらかなり面白い・・・当然興味深いという意味です・・・になるのではないかと思うのだが、どうでしょう? → 出版関係の皆さんどうです?