日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

岩本康志、他著:経済政策とマクロ経済学−改革への新しい提言−

最近なぜか接することが多くなったマクロ経済学・・・なぜかではなく、理由ははっきりしている。

仕事上で接する機会が増えたというところもあるが、いざいろいろ紐解いてみると興味深い状況になっているということが分かってきた。自分として一番興味を引かれたのは、マクロ経済を分析するにあたってそのミクロ的基礎をしっかりと視野に入れながら議論がされるようになったということ。

素人がこんなことを言うと怒られるかもしれないが、マクロ経済現象を実証分析する際に感じていたあの胡散臭さがなくなっているのかも・・・ということを勝手に想像したりしていた。そういえば、今、一緒に仕事をしているYくんがまだアルバイトできている時に、コブダグラス型の生産関数を考える際、ある変数を考慮するにあたって、それは市場メカニズムがない(だったかな?)、つまりミクロ的な定式化が無理だから、モデルに入れるのはおかしいと言っていたのはこのことかと最近考えたりしている。

それで読み始めたのが、先日の斉藤先生の一冊だが、読み進むにつれてもう少しマクロ経済学をおさらいすることが必要と感じてきた。そこで物色していると、やはり斉藤先生が共著者で名を連ねる下記の本が目に留まった。最初をよんでみると、マクロ経済現象を理解する基礎となるIS−LMモデルの解説から、当時の最先端の状況まで解説してあるようで、教科書を読むよりはこちらから入った方がいいだろうということで購入。

4532131790 経済政策とマクロ経済学―改革への新しい提言
岩本 康志
日本経済新聞社 1999-10


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著者は、岩本康志、大竹文雄齋藤誠、二神孝一の4氏。章立ては以下のとおり。

  • 第一章 変貌するマクロ経済学とマクロ経済政策
  • 第二章 財政政策:景気対策の再構築
  • 第三章 揺れ動く金融政策−政策目標間の相克
  • 第四章 高失業時代における経済政策
  • 第五章 新しい成長理論から見た経済政策

第一章でマクロ経済学と経済政策の現状をまず整理した後、各章でマクロ経済学とマクロ経済政策のポイント(財政、金融、雇用、成長)を解説する内容となっており、まず分析フレームを理解し、国内の経済問題のポイントを理解するには非常によい一冊だと思う。ただ出版が1999年なので若干古いという面は否めないが、現在はその流れの中にあると考えられるので、その古さも気にならないのではないか。

この一冊をしっかり読んで、現状のマクロ経済学のフレームを現状の政策課題と絡めながらしっかりと頭に叩き込む事からやってみたいと思う。

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