日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

外部性と情報通信政策/競争政策

95年以降、情報産業&通信産業が大きく変わってきたが、それによって外部性と政策の関係も変わってきている。

通信産業において、通信サービスとして電話が主なものであった時代、外部性は加入の外部性通話の外部性という2つの外部性があり、市場メカニズムの元では社会的便益は最大化されないので、そこを税制などを使い補正するというような議論がなされていた。

一方、情報産業においては、メインフレームからパーソナルコンピュータの時代になり、システムのモジュール化が進むと、マイクロソフト社のOSへブラウザソフトをバンドルして販売する事が問題になった。この時は、直接的ネットワーク外部性間接的ネットワーク外部性という分析視点から、その競争政策上のインパクトが分析・議論された。

そして生活やビジネスへのインターネットの普及・浸透は、新たなビジネスを起こすことで、政策上、外部性をめぐる新たな論点が指摘されるようになった・・・これがTwo(あるいは、Multi) sided Marketに関する議論である。

このTwo sided Marketの議論は、最近、国内においても徐々に広がってきている。海外ではすでに重要な分析が論文として発表されている。この議論はMarketの定義において、外部性が2つの市場間でどのように相互作用しつつ競争が展開されるかという点がポイントだと思われる。

現状では、このような2つの市場をつなぐようなビジネスを展開している企業の最適価格は、両市場で必ずしも従来のMC=pが成立している必要はないというようなことがこれまでの分析で明らかにされている。それは両市場で発生している、従来市場メカニズムでは扱えない、外部性を内部化する必要があるのだから、そうなることに違和感はないであろう。

ビジネス側から見れば、こういう市場だからこそ自分らの工夫次第でそこから利潤を得る機会があり、新しいビジネスを創造するインセンティブを刺激する。一方、競争政策とういう立場から見ると、ネットワーク外部性という従来市場メカニズムが及ばない分野での新たなビジネスの勃興とそこでの競争の拡大という点では、何らかの理由で市場支配力を持つ企業が競争においてその支配力を不正に行使するのではないかという懸念が出てくる。

まだこの市場の見方はいろいろ議論の余地があり、どのような競争政策が望ましいのかについては、まだまだ議論を重ねなければいけないらしいが、今後、注目しなければいけない、見方のひとつらしい。

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