第4部は、興銀と海外の金融機関との交流、国内の他の金融機関との交流が描かれた後、海運業界の再編成と証券不況についてが語られている。章立ては以下のとおり。
- 第21章 産業金融セミナー
- 第22章 生保の研修生
- 第23章 海運再編成
- 第24章 相次ぐ船舶会社の合併
- 第25章 証券不況
- 第26章 山一再建と新日本証券誕生
最初の章は将来の事業展開を睨んで海外から研修生を受け入れるという点で国内がある程度落ち着いてきた次を考えていた部分が描かれている。そして次は国内の他の金融業界に対して興銀が果たした役割が描かれている。
小説 日本興業銀行〈第4部〉 (講談社文庫) 高杉 良 講談社 1991-01 by G-Tools |
第23、24章は第四部の中心と言っていいだろう。海運業界の再編が2章にわたって書かれている。運輸省や興銀、そして主要な船舶会社の業界再編、合併までの様子が描かれており、興味深い。日本の産業政策(・・・と書くのは間違いかもしれない・・・正確には興銀の果たした役割が書いている)がどのようなものであったかが、海運業界の再編を通して描かれている。
そして最後の2章で証券不況から山一の再建を扱っており、第5部へとつながる。読んでいてふと気がついた・・・証券不況の時はちょうど僕が生まれたころと重なる。自分が生まれた時代の日本経済が不況期であったことを今回初めて知った。
ところで不用意にも上に産業政策と書いたが、興銀のような金融機関が果たした役割も大きかったということが改めてわかった次第。特に証券不況の時の銀行が果たした役割は、日本経済において間接金融が中心になっていった一端が書かれているようで興味深く読んだ。