第二部はいよいよGHQの占領政策の中で、日本興業銀行が普通銀行になるか、証券会社になるか、あるいは興銀的機能が残るのか・・・という自社の業態がどうなるか、ぎりぎりの攻防が展開される。さらに昭和電工の事件に巻き込まれ、興銀の将来を切り開くためのぎりぎりの交渉がGHQとの間で繰り広げられる。
小説 日本興業銀行〈第2部〉 (講談社文庫) | |
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存続か、廃止か、普通銀行か債券発行会社か、さらに敗戦後の占領政策を担うGHQ内部ごたごたの影響・・・これだけ考えただけでその最前線に立つ関係者は辛い時期だったのではないか。
この敗戦後の混乱した状況がこの巻の最後で劇的に好転していくことになる・・・これは多分に東西冷戦の勃発が日本にとって良い方向に影響を与えたように、興銀にも追い風になり、怒涛の解決となったということか。
このような危機を乗り越えた興銀を支えたものは、小説の中にも描かれている優秀な興銀マンの働きと、その働きを可能にした興銀という企業に対する社員の団結力であろう。これは今の時代も変わらないのではないかと読みながら考えてしまった。
彼らが常にベストエフォート(最善の努力)をすることで、さまざまな偶然が味方になってくれることになる。つまり「適切 な偶然に身を任せることで、危機を乗り越えることができる」(経済セミナーより。これについては別途)ようになるというところか。
第二部の目次は以下のとおり。
- 第七章 深夜の英文タイピスト
- 第八章 大臣からの極秘情報
- 第九章 ”AorB”の選択
- 第十章 昭電疑獄
- 第十一章 芦田内閣の倒閣
- 第十二章 再建整備完了
第三部はどのような展開になりますか[E:sign02]