日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

鯖の棒すし

鯖というと、僕の家では煮付け(味噌煮じゃないよ、甘しょっぱいしょうゆ味)や焼き魚として食べるぐらいだった。多分、関東の家庭では大方がそんな位置づけの魚ではないだろうか。子供のころは、その煮つけが大好きで煮汁をご飯にかけて食べたものだ。そしてその鯖は足が速いから決して刺身では食べられないとも言い聞かされていた・・・

ところが、九州の人に言わせると、鯖の刺身ほどうまいものはないらしいということが、大人になってお酒を呑むようになってから分かってきた。当時はまだ物流網(冷蔵、冷凍技術とともに)も今ほど発達してなかったから、やはり関東で鯖の刺身を食べるのは夢物語だったと思う。

ところが1990年ごろ、僕はちょっとした縁で大塚にあった「げんごろう」という居酒屋さんに通うようになった。そこは日本全国の地酒を扱う店で、つまみも店主がいろいろ工夫してくれる。特に刺身は季節のものがそろえてあり、いくのが楽しみな店だった。そこの店主が出してくれたのが、30分ほど酢で占めただけのしめ鯖だった。ほとんど刺身と同じであるしめ鯖はおいしかったという一言に尽きる味だった。その後関鯖ブームで関東でも鯖の刺身は食べられるようになったけど、あのときのしめ鯖の味は忘れられない。<

最近、その鯖をまた見直すときがあった。最初のきっかけは奈良は吉野の柿の葉寿司だった。大阪の大丸に、「大豫」(字が違うかも)という吉野の柿の葉寿司屋さんが入っていて、そこのが一番だった。柿の葉寿司は鯖、鯛、鮭等何種類かあって、僕は鯖が一番好きだった。あるときそこの店員さんが進めてくれたのが鯖の棒すしだった。肉厚の鯖を一本使って、棒寿司に仕上げる。それを厚めに切ってかぶりつく。「最初は柿の葉寿司が食べたいのに〜」と思ったが、食べてみるともうたまらないの一言。

その鯖の棒寿司でも一番なのが滋賀県すし慶の鯖の棒寿司だ。ここは酢飯の中に山椒の粒が混ぜてあって、それがなんともいえない。もう絶品である。東京でも、高島屋等でたまに出店しているので、食べられる。鯖が好きな人は絶対食べる価値ありだ。